最近、いろいろなハラスメントが問題になっています。その代表的なパワーハラスメント、パワハラについて考えてみました。
私なりに定義しますと、権力、腕力などで優位なひとが、下位のひとに、その力を使って、無謀な行いをすることでしょうか。このような力のバランス関係は、社会のあちらこちらに存在しますので、そのような行為が行われる土壌が誰の身の回りにもあると思います。学校や会社の中でも、よく見聞きするものですね。いろいろなパターンがあると思いますが、故意に虐めてやろうとする確信犯的なものから、本人はパワハラの意識が無く、指導やしつけという名のもとに、部下など下位者を虐めることも多いと思います。今回は、後者のケースを掘り下げたいと思います。
分かり易い例として、会社の中の上司と部下のケースを取り上げてみましょう。
部下が上司の要求する結果を残せなかった、又は、上司の期待する行動をとれなかった場合、上司は部下にもの申します。パワハラ体質の上司の場合は、部下の結果や行動そのものにクレイムをつけます。なんでそんなことするのか、なんで言う通り出来ないんだというように。そのことで、部下の人格を否定するような言葉を使うことも良くあります。何故そのような行為をしたかという本質的な部分はさておいて、行為そのもの、結果そのものにけちをつけられるので、部下はなかなか言い訳できない状況になります。何の因果関係もないのに、部下個人の性格や経歴、生まれ、話し方、容姿、趣味、嗜好など、エキサイトすれば、過去に起こした事例も動員してけなすことが多いのです。上司は叱る(この場合は叱るではなく、怒るだと思いますが、上司は叱っていると勘違いしています)ことが正しいと思っているのですが、このような𠮟り方では、部下に恐怖心を植え付けるばかりで、何の反省や学びにもつながりません。このような怒りにさらされますと、部下は益々委縮し、彼が持つ本来の力がさらに発揮できなくなってしまいます。つまり、このような行為は、指導ではなく、部下を怯えさせるだけのものなのです。上司の本来の使命は、何か不都合なことがあったとき、その原因を探り、もしそれが部下の行為に起因しているのなら、そういうことがないようにするにはどうすれば良いか、部下に気付かせることなのです。その上司がなぜそういうことが出来ないのかと言いますと、その上司が部下を指導する為の具体的なアイディアを示すことができないからではないのでしょうか。理想的な上司であれば、起こった事象の原因を想定し、それを回避したり、リカバリーするにはどうしたら良いのかということを部下に具体的に示すことが出来ます。例え、具体的な打開策などがすぐに思いつかない場合でも、部下と議論し、いろいろな策を模索して、次の行動につなげると思います。決して、部下を怯えさせるような物言いはしません。逆に、さらに酷い上司は、部下の行為に起因していない場合でも、部下に責任を押し付ける為に、部下を一方的に叱るというケースもあります。これも自分の責任問題を回避するために、部下を怒り、対面を保つというやり方なのです。いずれにせよ、パワハラというものには、上司の能力不足、責任転嫁などが根底に隠れているのです。