議員の世界では石を投げれば二世、三世議員に当たるほどまるで世襲の職業の様子を呈しています。
歴史的には、ほとんどの職業が世襲で受け継がれていたのですが、これはどうしてでしょうか。当時の社会に有効な職業選択のシステムが無かったこともあります。今のような核家族では無く、大家族主義で子孫に家系の名を遺すことが非常に重要であったからとも思われます。もちろん、特権階級に属する者達がその地位を維持する為に職業選択権を認めない身分制度を作っていたことも根底にありました。
現代の社会では、そのような差別的なシステムを排除する為に、法的に職業選択自由の権利を保障していますが、未だに世襲が多く残っている職業があります。特に、一般庶民が望んでも、いろいろな障壁がある職業にその傾向は高いのです。
例えば、オーナー企業の場合は、会社の株を一族で保有していて、それが子などに相続されて、オーナーが世襲されるケースや、医学部の卒業に、また医院を開設するにも多額なお金がかかり、裕福な医者の子が医院を継承するというのも多いと思います。さらに、もっとも障壁の高いのが議員です。選挙には、お金もかかりますし、人脈も必要ですし、知名度も必要だからです(俗にいう、地盤・看板・鞄です)。
もちろん、これらの職業でも、素晴らしい二世、三世もおられるでしょうが、どちらかと言うと親の残した遺産で成り立っているだけの人も多いのです。親が適正があったとしても、起業家、医者、政治家の適性の無い子供が生まれることもあるのですが、適正とは関係無くその気になれば、簡単に親を引き継ぐことが出来るということが問題なのです。
幸せな人生の鍵のひとつは、適正のある仕事に出会えるかということです。だから、富や権力のあるこれらの職業に就くことは、裕福な生活を送れるという点においてはいいのかもしれませんが、適正も無いのに、偽った顔をして、その役目を担うことは本人にとっても苦しいでしょうし(パパ活議員のように、裏の顔で欲求を発散しなければならないケースも多いと思います)、一番迷惑なのは、起業家であれば従業員、医者であれば患者、議員であれば国民、市民の方なのです。
本当に職業選択においても、憲法で保障されるように、志せば誰でも平等に就けるチャンスを与えるような環境作りが重要なのです。その為には、まずは、多額のお金が無いとなかなか成れないという状態を変えることが重要です。もっとも重要なのは、その職業への適性ですから、適正を見極める試験を通れば、その職業に就く為にかかる費用は公費で援助するとか、起業家の継承については従業員の承認が必要にするとか、策を考えればあると思います。議員については、前回のブログに示しましたような方策が考えられます。
本当にプロフッショナルであるのなら、親自ら子供の適性を見極めて、その職業に就かせるかを判断すべきです。一人の親として、子供を優遇したいと言うのは人間の本性だと思いますが、社会的にはそのような個人的なエゴは認めないことが多くの人達の幸せにつながると思います。