NPT(核拡散防止条約)再検討会議がニューヨークで開催され、岸田総理が日本の首相として初めて演説しました。日本は世界で唯一の被爆国で、その悲惨さを体験しているのですが、米国の核の傘に依存していることで核兵器禁止条約を批准していないという二面性を持ち合わせていますので、歯切れのよい演説とはなり難かったと思います。
核兵器はその尋常ならざる威力で単発でも使用されると多大な被害をもたらしますし、核兵器での双方向の戦闘がもし起きたら、地球は全滅、もしくはそれに近い被害を被る可能性が高いので、通常兵器とは違い、いかに使用しない、させないということが非常に重要なのです。
ですから理想を言えば、核兵器を世界的に完全に廃棄することが最も賢い選択だと思います。しかし、保有国からすると、他の保有国がきちんと廃棄するか信用できないという論理が出てきます。全核兵器保有国の間で核兵器廃棄条約が結ばれたとしても、ひとつの国がそれに違反して一部保有を続けていたとしたら、軍事的な絶対的な地位を確立することになってしまいます。世界征服が可能になるからです。
そこで考えられるのは、次善の策です。つまり、これ以上核兵器保有国を増やさないことと、保有国は絶対に使用しないということを約束することです。これがなんとか折り合いのつく落し所と見られていた訳です。それで、核兵器を新たに開発し保有する動きがあったイラン、北朝鮮に対して、いろいろな制裁が科されてきたのですが、残念ながらなかなかうまく抑え込むことが出来なかったのが事実です。さらにもっと予想外のことは、今回のウクライナ戦争で、ロシアが核兵器を使用するということを脅しに、NATO加盟国の直接軍事行動を抑制させたことです。核兵器の90%を米国とロシアが保有しているのですが、まさか、その核大国であるロシアが、真っ先に核兵器使用禁止を破りそうになるとは誰も予想していなかったと思います。
まさかロシアと言う大国のリーダーが地球の滅亡につながる可能性のある、まるでならず者のような脅し行動をとるとは、信じられないのです。このことから、核兵器の使用が、その保有国のリーダーの意思で決まるようなシステムは非常に危ういということが露見したのです。人類としては、核兵器保有国の限定とその管理システムが独裁者だけの意思で進まないような形を前提とすべきだと思います。現在でもロシアは大統領を含む三人の権限者全員が認められなければ核ミサイルを発射できないようになっていますが、実質はイエスマンの配下に権限があったとしても独裁者単独の判断で決まってしまうのですから。
人類には地球を破壊する権利など、どんな人間にもありません。このことを深く理解したリーダーを選ぶべきですし、もしそのリーダーが心変わりをしたとしても、抑制できるシステムを作らなければ、本当に地球は壊滅してしまうと思います。このブログで度々唱えていますように、国民一人一人が、真剣にリーダー選びを考えて行動しなければなりません。政治に無関心でいることが、どれだけの悲惨な未来につながるかを知って欲しいと思います。