第8回アフリカ開発会議の基調講演で、岸田総理が今後3年間で官民あわせて300億ドル(約4兆円)をアフリカに投資すると表明しました。
これに対して、日本自身の景気も低迷している中、国内への景気刺激策を優先すべきであると言う意見も寄せられています。確かにそう言われることも理解できますが、私は以下に述べますような理由で、アフリカへの支援には賛成しています。
① ロシアのウクライナ侵攻や台湾問題など、日本の安全保障や経済への影響が色濃く影を落としている現在、多くの国民が幸せに暮らせる為には、世界平和が一番重要な問題です。それらは、一見、領土問題であると見えますが、その裏に隠されているのは、ロシア、中国の権力者の覇権争いであり、根底には自国民の不満の方向を逸らし、強い政府であると言うプロパガンダにほかなりません。ウクライナや台湾は直接的な敵対対象でありますが、一方、アフリカをはじめ開発途上国への影響力を高めることも行われていて、これらの国への支援で、ロシア、中国の行動を支持させ、国際的な世論を誘導しようとしています。アフリカなどの国が中国、ロシアの友好国として発展してしまうと、世界的に民主主義、自由主義の勢力は益々減少することになり、世界的な覇権争いが止められなくなってしまいます。つまり、武力で統治することが当たり前の世界になってしまうのです。世界平和の維持には、このような流れを阻止していくことがポイントなのです。その為に、一国でも多く、民主主義国家を育成しなくてはなりません。だからそれらの国の貧困問題が、民主主義で解決されるのか、軍国主義で解決されるのかで大きな岐路となるのです。と言う事から、欧米、日本などは開発途上国に積極的に支援の手を差し伸べないといけないのです。以上のように、もし日本が自国内の経済だけに投資して、独自に経済的に立ち直ったとしても、戦争に巻き込まれては、結局悲惨な未来となるのです。
② 次に財源の問題です。確かにコロナ禍や物価高騰で以前より生活が苦しくなっている日本人は増加しています。そのような状況なのに、海外へ投資する余力があれば国内に投資すべきと言う意見もあるでしょう。①に述べた点は理解できるとしても、自国民が食うに困っては本末転倒だと反論されるかもしれません。しかし、日本には、まだ財源があるのです。それは、大企業や富裕層への優遇政策で彼らが富を増やしている事実に焦点を当てると、方策はあるのです。岸田総理が自民党総裁選で主張されていた格差是正改革です。今こそ大企業も富裕層も地球的観点に立って、富の再配分に協力すべきです。自分達だけ優雅に暮らせる時代は長続きしないのです。世界の平和につながるのですから、こぞって協力するのが賢明な判断だと思います。
いずれにせよ、同じ地球に生きているもの同士、助け合うことが、貧困問題の是正、ひいては武力による富の奪い合いを止め、多くの人々の平穏な幸せにつながるのです。同じ地球号という船に乗っている以上、自分本位の考えでは決して末永い幸せを得ることはできません。地球はひとつなんです。本質的には、国境なんて権力者が自分の権力、富を守る為に作ったもので、大多数の人間には本当は必要ないものです。