以前のブログ「278.人間は人工的に作れるのか」で、時間はどれくらいかかるか分からないがある程度のものが作られるのではないか、と結論つけています。

 人間は、大まかに三つの機能(脳神経系、エネルギー系、運動系)で構成していると考えて、2足歩行型ロボットがもう既にある程度出来上がって来ているのを考えますと、そのロボットを自立的にコントロールする脳神経系をどう組み合わせるかがまずは大きな課題だと思います。

 脳神経系のベースは現在のAI技術をベースとして考えて行きますと、結構、我々の脳で処理されているやり方と似ていることに気が付きます。AIは膨大な情報、インターネット上に存在している情報が主体であると思いますが、その情報を活用して、プログラム化されたクライテリアで、必要な判断を実行します。ですから、判断が正しいかどうかは、元になった情報の真偽と充足度、プログラムの判断基準にかかって来ると思います。

 これと同じように、人間の判断も、得られる情報と判断基準によって決まっています。だから、同じような状況にあっても、人間の判断は千差万別となってしまいます。例えば、ビジネス戦争での判断においては、どれだけ正確な情報をどれだけ多く持てているかで、競争に勝てる判断が出来るか決まります。もちろん、同じ情報に接していても、判断基準がどうであるかによっても勝敗が別れます。

 人間は、持っている情報と自身の経験によって導かれた判断基準だけで判断します。だから、間違った判断をすることが多いのです。ひとりの人間としては、判断に関係ある情報を網羅的に保有していることは少ないでしょうし、短い人生で体験出来る経験にも限りがあります。それなのに、自分の判断は正しいと、ごり押しする人が多いのです。

 怪しい宗教に騙されたり惑わされたりするのも、独裁者の言葉に騙されたり惑わされたりするのも、限られた中で判断してしまう人間の弱点を突かれてしまうからだと思います。

 人間は、今、目の前にあるもの、目に見えるものが全てと勘違いする傾向にあります。それだから、多くの人達に対しても、同じものを見せるように仕向けることによって、集団催眠のようなものにかかってしまうのです。権力者が、思想統制、情報統制するのはその為なのです。幼い頃から、ある思想だけを叩き込むような教育でも、そのような人民コントロールが出来るのです。

 権力者や宗教家が自分達の思想だけが正しい、他は邪道だと教えるのはその為なのです。

 人間が出来るだけ正しい判断をするためのヒントはここにあります。出来るだけ多くの情報に接すること、特に自分の考えと異なるものにも積極的にその考えに耳を傾けること、自分の考え方はもしかしたら間違っているのではと、常に自分自身を戒めることが重要なのです。

 さて、AIに話を戻しましょう。情報の真偽をどう判断するかは、入手出来た色々な情報を使って、答えが明確であるような事象に活用してみて、それらの結果と矛盾するかどうかを確認します。これはある意味の模擬テストです。科学の世界で言うところの実験みたいなもので、この実験データを根拠として、その情報が正しいかどうか判断します。判断基準が正しいかどうかも、この実験手法で確認するのです。

 このようなAIのプログラムを組むことが出来れば、人間よりは数段優れた判断が出来ると思います。これに比べて、人間は限られた情報を限られた経験で判断するのですから、適うはずはありません。

 このような正しいAIを構築すれば、人間の判断が導く世界より、素晴らしい世界を作ることが出来るでしょう。しかし、問題なのは、この正しい道を歪めようとAI技術を扱うものが必ず現れるからです。

 この時点での私の答えは、AIは正しく開発し、発展させれば、人間の社会に、そして多くの人民に、幸せな方向を示してくれると思います。しかし、そうさせまいとする悪の企てから、この技術を守れるかどうかで、そのような明るい未来を迎えられるかが決まると思います。

 また、このような人工人間の理想の形を学んで、我々人間自身の行動がより良い方向に進んでいくようにしたいものです。

投稿者

弱虫語り部

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