前回のブログで、一旦誰かが決めた数字をその精度や意味合いを理解せずに鵜呑みにして行動してしまうことには大きな危険性が潜んでいることを述べました。

 上級公務員や企業の総合職と言った難関校を卒業した人でも、そのような行動をとる人が多いのは、ひとつは受験主体の教育にも原因があると思います。学校の試験や入学試験の問題には、決められた答えが存在しています。受験勉強とは、答えが明確な問題について、その答えとなりそうな事を多数記憶したり、似通った過去問を多数こなしたりすることで、高い点数をとることが出来るものだと思います。しかし、社会に出て、ぶつかる問題には、決まった答えが存在しない場合や、いくつもの答えが考えられる場合が多くあります。そして、調べれば誰でも解けるような答えのはっきりした問題より、答えが明確ではない問題こそ、社会の仕事をやっていく上で非常に重要である場合がほとんどです。つまり、受験テクニックでは解くことが出来ない問題を解くことが、高度な仕事が出来るか出来ないかを決める重要な要素なのです。AIやロボットが発展して来た社会においては、益々そのような問題を解けることが要求されるようになるのです。

 そのとき、最も重要な思考法とは、自分の前に示された数字や答えがどうしてそうなっているのかと言う理論的な理解を自分の頭でとことん行うと言うことです。誰かに言われたこと、例え上司や経験が長い人に言われたことであっても、その言葉や数字の裏にあるニュアンスを理解していないといけないのです。何故そのような答えになったのかを、分からなければ、上司に確認すべきです。それに対して、社長が言ったからとか、どこそこの偉い先生が言ったからとしか、答えられないのであれば、その答えを疑ってかかった方がいいのです。そして、自分自身で理解出来るまで、調べるべきです。

 前回のブログでお話したような問題は、日本のエリートと呼ばれる人達が、他人が決めたことをその意味合いも考えないで信じてしまった、つまりある所から思考停止に陥ったから起こったことなのです。人間は楽な方に流され易い生き物です。だから、誰かが決めたものだと、それを使えば苦労することも無いし、責任もとらなくてよいと思って、ついついそのような行動パターンをとってしまうのでしょう。

 しかし、それでは、難しい問題に挑むとき、大きなリスクを見逃すことになってしまうのです。自分は社長ではない、責任者ではないから、与えられたことをこなすことでいいのだと思ってしまうとそれが大きな失敗を生んでしまうことがあるのです。出来れば、どんなポジションについている人であろうが、自分が指示されたことが何の為にやらなければならないかを自分で理解出来るまで、思考を巡らしてください。そうすれば、将来に潜む危険性を察知して、リスクヘッジの手立てを事前に準備しておくことが出来ると思います。もしかしたら、上司の指示より、もっと良い案を考えることが出来るかもしれません。

 何故、何故と常に思考を停止させることなく、自分で納得のいくまで頭を働かせることが重要なのです。

投稿者

弱虫語り部

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