この世界で真面目に生きている人が幸せに暮らしていくことを妨げているのは、人間の際限の無い欲と自分だけ良ければいいと考える自己中心主義だと思います。
これらの人間の行動を戒める名言はいろいろとありますが、私が最低限これだけ守れば、きっと住み易い社会になると考えている金言とも言うべき二つの名言があります。
ひとつは、「自分の食い扶持は自分で稼ぐ(又は、働かざるもの食うべからず)」です。これは大人になり、親の扶養から離れれば、ひとに頼らないで自分で生きていけと言うことです。働くことに支障の無い人が皆きちんと働き、それがある程度平等に分配されれば、世界全体では、みんなが生きていけるだけの食料、富を生むことが出来るのです。働ける人がきちんと働けば、それから得られる生産物で、世界中の人が飢えることなど無い計算が成り立ちます。もちろん、働きたくとも出来ない人や、災害などによって予定通り生産物を得られないこともあります。また、富を搾取したり、大きく偏って所有したりする者が出ても、この公式は成り立ちません。
このようなマイナス要因に対しての名言は、「奪い合えば足らぬ、分け合えばあまる、奪い合えば憎しみ、分け合えばやすらぎ」と言うものです。富を一部の者で独占したり、その為に奪い合えば、多くの飢えや貧困を生み出しますが、困ったときはお互いに譲り合って、助け合うとみんなに富が行き渡り、多くの人が平和に暮らしていけるというものです。
この二つの言葉を理解し、ひとりひとりの人間が生きていけば、この世界から争いや諍い、飢えや貧困は無くなると思います。そのことで、世界に平和で安心な社会が出来上がるのです。
しかし、現実には、人から富を奪う人や、富を独占する人や、楽をして生きて行こうとする人や、人に頼って生きて行こうとする人が少なからずいます。それに対して、自立する自覚と、助け合う精神が基本的考え方となればこの社会は非常に住み易いところになるでしょう。
人間が自分第一に考えるのは、本能的な自己防衛本能が関係しているかもしれません。目先の楽だけを考えますと、自分中心になるのもしかたないかもしれません。しかし、非常に多くの人間で構成されている社会は複雑であり、自分の行動が、長い目で見れば、どうなるかは大変分かり難く、ついつい、目先の得や楽を選んでしまい易いのです。しかし、これまでの人間の歴史を見て行けば、利己主義が到達する先には、多くの争いや悲劇が待っていることを示して来ました。
この人類が多くの血を流したり、多くの悲劇を経験して学びとった尊い考えを、幼いときから、徹底的に教育の中で教えていくことが必要なのだと思います。本当にみんなが幸せになれる方法を。そして、そのような考え方が当たり前であり、実現出来るような社会のルールを作る必要があります。私は競争を否定している訳ではありません。公平な競争環境が必要であり、また、歯止めとして、その報酬で一部の人間で富を独占するようなことにならないようなルールも必要だと思っているのです。