今日、石破氏が内閣総理大臣に指名されました。その前に、新しい内閣の顔ぶれが既に報じられていました。初入閣の人は13人にのぼります。問題なのはここからです。13人とも、議員当選回数などから、その功績に報いる為に大臣にするという自民党の悪しき慣習で言うところの待機組からの初入閣が13人だそうです。派閥があった頃は、各派閥から、自派閥の待機組の中から誰を入閣させてくれと推薦があったそうです。そのような動きにより大臣となった人の能力不足露見や失言が数多く発生していたのも記憶に新しいです。議会や委員会において、各省庁の官僚が作成した答弁書をたどたどしく読んでいた大臣を何人も思い出せます。官僚幹部達にすれば、変に口を出して来る大臣より、言いなりとなってくれる大臣の方が御し易く、好ましいらしいそうですが、何とも情けないことです。
国民にとって見れば、そのようなお飾りの大臣に高い報酬と経費を税金から払っていると思うと腹立たしい限りです。石破新首相のこれまでの言動からすると、そのような大臣を作らないのではないかと期待していたのですが、どうもそうでは無いみたいです。ポイントは、今回の新大臣は衆議院解散、選挙後の再組閣までの非常に短い任期となる見通しだからです。再組閣のときに再入閣する大臣もあると思いますが、そのような人は石破首相が本当に必要だとしている人でしょう。今回限りの人達は古参議員に箔を付けさせることで、その議員関連の人達から現政権への支持を取り付けると言うことだと思います。
石破首相は国会議員から不人気であったのが、今回の総裁選決戦投票前の演説で、これまでの言動を詫びて、少しでも国会議員からの人気を挽回しようとしていました。その流れで、今回の組閣人事も人気挽回に利用しようとしたとも考えられます。森山新幹事長や新しいチーム石破の面々から諭されたのかもしれませんが、それにしても、石破氏に期待したような、自身の信じることを貫くという姿勢からはかなり外れていくものだと思います。
大変革をしなければならない自民党に対して、仲間を増やす為とは言え、本気とも思えないいい顔を見せるとは何とも情けないです。自民党議員をはじめ、国会議員の多数を敵に回しても、己の信念を貫き通すことしか、本当の変革は出来ないのではないでしょうか。確かに、仲間が多いほど国会運営はやりやすいとは思いますが、そんなことでは今の政治を変えることは出来ないと思います。多くの支持をとりつけて長期政権を維持した安倍元首相が自民党の悪しき部分を改革出来たでしょうか、嫌、彼こそその部分を維持した張本人だったのです。そして、そのような安倍政権に反発したのが石破氏だったと思うのですが、同じようなやり方をしては、結局、これまでと変わらないことに成りかねないと思います。
ましてや、石破首相の好む論理的思考から言えるのは、国民に今必要なのは、権力争いではありません。きちんとした政策を掲げて、野党との論戦により、より良い政策を捻り出すことだと思います。政治家達の権力争いなど、税金と時間の無駄遣いでしかありません。石破首相がこの原点に戻って、国民から期待されて来たことの本質に思いを戻して欲しいと思います。