今の年金制度が作られた時代の背景と現在の状況はかなり変化しています。それなのに、未だに年金制度の抜本的な改革は進んでいません。
現制度が作られた当時のモデルケースは夫が会社員勤めを停年まで働き、妻は専業主婦で、二人の子供は成人して独り立ちしているというような家族です。このようなモデルケースでは、月20数万円の年金が支給されています。多くはありませんが、何とか暮らしていけるだろうと言う事です。しかし、現在、このようなモデルケースに当てはまる家庭はどれだけあるのでしょうか。
まず、婚姻率が下がる、少子化となる、正社員の比率が下がる、離婚率が上がる、もちろん寿命も延びる、など多くの変化が進んでいます。これらのことを総合しますと、若年世代が減少し、一人暮らしの高齢者が増えていると言えます。さらに、もともとサラリーマンでない人達に、停年が無いから、国民年金(基礎年金)だけでやれと言うのも無理があったと思うのです。死ぬまで働けと言っているのと同じです。
このようなことから、生活保護世帯よりも低収入で暮らさなければならない人も増えているのです。このような実態に対して、大した手も打てずにいる日本の政治はどうしようも無い状況と言えるのではないでしょうか。結局は、選挙で政治家達を支えている大企業、圧力団体、富裕層が良ければいいのでしょう。
それらの低年金貧困層は、この物価高でどんな思いで暮らしているのでしょうか。そのようなことに思いを寄せる政治家はどれだけいるのでしょうか。
年金制度や健康保険などの社会保険料に関する制度の改革は、簡単ではないことは間違いないです。だからと言って、手をこまねいてばかりいては、苦しんでいる弱者を見捨てることになってしまうのです。
これらの抜本的な制度改革については別の機会に述べたいと思いますが、今回は、貧困に喘ぐ年金世帯への対策を考えてみたいと思います。今回の補正予算でも、住民税非課税世帯への給付金が盛り込まれていると思いますが、それをもう少し手厚く、継続させることが当面の対策となると思います。問題は財源なのですが、103万円の壁問題で議論されていますが報酬の壁を引き上げることによる減税の対象からある一定の年収を超えるものには適応させないことで浮いたお金を使うことでやれないでしょうか。
国民民主党などは、公平性の観点から減税は全ての国民に適応させたいようですが、こんな所で公平性などを持ち出すこと自体、全体が見えていないのかと思います。公平とは、すべての国民がある程度豊かな生活を送れるということで公平なのであって、一部の点に公平性を適応しても意味が無いと思います。
共助の観点が同じ国に住まう人々の一番重要なものだと思います。困っている人はそうでない人が助けるのが、社会に平穏をもたらす鍵なのです。今更高齢者を支援したとしても、若者は自分達は不幸だと考えるかもしれませんが、今のうちに、この問題に真面目に対処しておかないと、若者が高齢者になったときにさらに悲惨な老後を送らなければならないのです。