NHKのドキュメント番組で、過去の戦争において多くの兵士が戦闘を経験した後に、PTSDを発症することについて取り上げていました。

 これは戦争神経症と言われた精神的なトラブルですが、様々な症状が知られるようになった初期の頃には、兵士が戦地から逃れたいとの臆病から発したと決めつけられ、軍法会議で死刑になった人もいました。

 その後の精神科医らの研究によって、戦地での過酷な状況に置かれた人間が、敵兵を殺すことを最大限の目的として訓練されたことと、敵兵と言えど人間を殺すことへの人間としての本質的な嫌悪感の狭間で、精神が崩壊した結果、様々な症状につながったようです。

 近年では、米国でも、ベトナム戦争、中東戦争へ派遣されて、帰還した兵士がかなりの割合で、発症しているそうで、その中で、自殺したり、殺人など犯罪を犯した人間が多数存在したのだそうです。

 私はこのブログで、戦争こそ、人間として最も愚かなことで、避けなければならないことであると主張して来ました。それは、たまたま自分が生まれた国が他の国と戦争状態となったとき、愛国心という名のもとで、戦地に引き出され、名も知らぬ、個人的に何の恨みや憎しみも無い敵の人間と殺し合いをすることは、普通の人間的な心を持つ人間にとって、耐えられないことであると思うのです。もし、戦争の場で無ければ、お互い好ましい人間として、仲良くやれるかもしれないのが真実だと思うのです。本当に戦わなくてはならない相手は、戦争をしてでも、それで自国民や敵国民が多数死亡したとしても、自分の欲望を達成しようとする権力者やその取り巻きなのではないかと思います。

 今の世界を見渡しますと、世界のあちこちで未だ戦争と言う名の殺し合いが続いています。やれ思想だ、主義だ、宗教だと、人間を一括りにして、結局は、侵略してその地にあるいろいろな土地や資源を奪う為に、敵対構造を作り、戦争でないと解決出来ないとして、軍隊を派遣し、戦闘状態にある地域が少なくないのです。そのようなことで戦争を肯定するのは、発展途上の国だけでは無く、先進国である大国も同じなのです。話し合いで解決出来ることこそ人間なのですが、この真理に目をつぶり、暴力で解決しようとするのは、話し合うと自分の正当性が無いことが露見するからなのです。