今回のフジテレビや中居氏が行ったトラブルへの対応のまずさの原因は組織として機能不全に陥っていたからだと思います。
理想の組織とは、多数の人間から構成されている中で、それぞれが個々人の特徴、長所、得意点などを活かし、個々人の短所、不得意点をカバーし合い、組織全体の力を最大化し、組織の目的を達成するものであります。
今回、フジテレビという企業は残念ながらそのような理想的な構造では無く、限られた一部の人間が権力を握り、様々な判断を下していたと思われます。そういう組織で出世するには、権力者に媚びへつらい、権力者の意見、考えに従い、つまりイエスマンとして権力者の指示命令を従順に下に降ろして、権力者の思うように会社活動を進めることに尽力することなのです。
そういう組織であるので、例えば、今回の一連の判断で不味かった点、例えば、中居氏のトラブルを認知した時点で、トラブルを隠蔽し、中居氏を守ったこと(フジテレビの社長や元専務はこの点は否定していますが、その言動「被害者への配慮で中居氏の番組を急遽打ち切るような不自然な形には出来無かった」と行動「ダウンタウン松本氏の出演取り止めの段階でも中居氏だけで番組を継続させたり、中居氏に新たな番組を担当させたこと」に矛盾がある以上、中居氏を守ろうとしたとしか理解出来ません)、社長の会見をカメラも入れず、出席者も限定して開催したこと、その内容も抽象的な物言いで終始したことにおいても、このような判断では、世間を納得させることは出来ない、逆効果になると言うリスクを誰も指摘することが無かった点についても、健全な組織力が発揮出来ていないことは明らかです。
この点について、権力者の取り巻きにはイエスマンばかりで、きちんとしたリスクを見通すことが出来る有能な取り巻きがいなかったことが分かります。中居氏のコメントについても、示談が済んでいるから支障なく芸能活動が出来るなどと言う、浅はかな言葉を入れることに、異議を唱えたブレーンがいなかったこととも、組織の大小はありますが、一部の人間の判断で物事が決まってしまう危うさを物語っていると思います。
このブログで、独裁というものの危険性を度々指摘して来ました。それは、どれだけ優秀な人間であろうと、どれだけの功績を成して来た人間であろうと、完全な人間は存在しないという人間の真理を忘れているからです。例え、どんなに権力を持とうが、間違いを起こすかもしれないという視点を忘れてはいけない、その為に、独裁という形では無く、英知を結集し、その中から最善の判断を選択するというような組織でないといけないと思うのです。リーダーはそのような過程で判断し、議論を尽くしても答えが出ない場合だけは、最終判断を下すという形がベストなのです。
その為に、避けないといけないのは、権力者、リーダーに同調しかしないイエスマンは排除すべきなのです。自分とは違う見方や考え方が出来、その意見を臆さずに述べるような人材を回りに揃えないといけないのです。
しかし、多くの人間は自分の意見に逆らうものを避けようとします。もちろん、人間だれしも、自分の考え方を否定されるのはいい気持ちはしませんからそのような人間を排除したいと考えやすいと思います。そして、その裏には自分が一番優れていると考えているからなのです。これが独裁や独裁的なリーダー、権力者を生む背景なのですが、人間は完全では無いという真理を理解していれば、独裁というものの危うさが理解出来ると思います。