米国で、トランプ政権が始動しました。トランプ大統領は大統領選挙から主張していた数々の政策を実行に移しつつあります。これは米国内に限らず、世界の多くの国々にも影響が及ぶものです。そういう状況なので、反発する立場の人間もいますが、一方、トランプ大統領に迎合したり、機嫌取りをするような数々の動きが続いています。
このような動きはそもそも米国大統領の権限が絶大なものであることがひとつの要因であると思います。そのような権力者に対しては、徹底的に対抗していくか、力の弱い国やましてや大した権力を持たない人間であれば、迎合するしかないかもしれません。
しかし、トランプ大統領がすべて正しい判断をすればいいのですが、人間ですから、決してそんなことは無いでしょう。もちろん、米国は民主主義を唱えていますので、大統領が民意を無視することは出来ません。しかし、ある程度の民意を得られれば、議会での賛同を得られずとも、かなりのことが出来るのが米国の現実です。
私は、民主主義は多数決で決めることがその根幹であるとは考えていません。首長や議員を選挙という多数決で決するのは事実ですが、それで選ばれたからと言って、その人が判断することがすべて正しいとするのは間違っていると思っているのです。政策については、ひとつひとつ、議会での議論を経て、その議論の内容に対して、一件、一件、議員が政党などの縛りが無く、判断出来るようにすべきだと思っています。そういう意味でも、米国の大統領制は権限が強すぎると思っているのです。
その強い権限を利用したいと思う、または、出来るだけ自分達の有利な方向に為されるように、大統領に迎合してしまうのです。これは政策だけの問題ではありません。先日、司法省の職員が10人以上が解雇されました。彼らは、前政権時に、トランプ氏を複数の罪で訴追したことに重要な役割を果たしたそうです。そこで、司法省の幹部が解雇の理由としたのは、そのような人達がトランプ大統領の政策を忠実に実行するための支援を信頼して任せられないということだそうです。司法省の幹部が自分の地位を守る為に、トランプ大統領に迎合したとしか考えられません。本来、司法とは、客観的に法律に対してどうあるかを突き詰めるべきものである筈ですが、そんなことより、権力におもねることが優先してしまうのです。
例え大統領であろうと法的に問題があるのであれば、トランプ氏が大統領であろうが、無かろうが関係無くそれを追求すべきですし、それが法治国家というものだと思うのです。三権分立こそ民主主義を本来の民主主義たらんとする切り札だと思います。
民主主義国家としての歴史が長い米国でも、未だにそうなってはいないことに驚いてしまいます。やはり、権力を持つものの考え方が優先して、国を作って来たのだと思わざるを得ません。