中国の富裕層の中で、中国本土の教育環境が悪化して来たとして、家族で日本に移住する人達が増えているそうです。「孟母三遷」と言う有名な諺がありますが、中国の戦国時代の有名な儒学思想家の孟子の母が、子供のより良い教育環境を求めて三度、家を移したという逸話から出来た言葉です。

 中国の親が目指すのは、欧米、日本、中国などの有名大学へ子供を進学させることだそうで、その為に、小学校から進学校に入学させたいということで、日本では、東京都文京区が人気があるそうです。文京区には東京大学があり、高学歴、高収入の人が多く住んでいて、小学校も優秀だそうです。中でも、千駄木小学校、誠之小学校、昭和小学校、窪町小学校が人気で、これらの学区に移住することを希望する家族が多いそうです。これらの小学校から、有名な中高一貫校へ進学を目指すのです。そして、世界の超有名大学へ進学させるのです。

 確かに、それらの大学の卒業生は政界やビジネス界、学界で成功した人材を多く輩出していますが、だからと言って全員が成功を手にしている訳では無く、そうでない人の方が多いのが現実です。この現実をしっかり認識する必要があります。成功した人達にとって、有名大学を出たことが成功への必要充分条件ではなく、元々そのような職業への適性が高く、その素質を核に、大学を研鑽の場として利用出来たことで、そのような人物が出来上がったのです。

 重要なのは、自分の子供の適性を見極めることで、それが無いのに、ただ目標につながるレールに乗せることでは、親の希望するような職に就くことも出来ないかもしれません。もし就けたとしても、その場での厳しい競争に勝ち抜けることが出来ずに、挫折を味わうことになるかもしれません。

 真に子供の幸せを願うのであれば、その子の適性、希望を優先して、その子の人生を応援することが大切なのです。社会には、欠く事の出来ない絶対に必要な多くの仕事があります。誰かがそれを担わないと社会は回らないのです。政治リーダーやビジネスエリートだけでは世界は全く成り立たないのです。そして、その数多ある役割に適性のある人も必ず生まれて来ます。そのような天職に就くことが、その人の人生を充実した、幸せを多く感じられるような豊かなものとするのです。

 未だに、このような単純な真実に気付かず、適正も考えずに大事な子供を無理やり不幸な道へと導き、そこで苦しみ、悲しみに消耗するような人生を押し付けてしまう親が多くいることは非常に残念な思いです。

 大事な子供に必要なのは、お金や地位が第一では無く、遣り甲斐が持てる、充実感を感じられるような自分に適した職に就くことが第一で、それが満たされれば、お金も地位も後からついて来るものなのです。

投稿者

弱虫語り部

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