米国トランプ大統領が各国からの輸入品にかける相互関税率を発表しました。これに呼応して、各国の株価は軒並み同時安となっています。さらに為替、物価などにも大きく影響していく兆しが見られています。

 各国も報復関税をかけて対抗する国もあれば、ベトナムのように関税をかけない国もあります。お膝元の米国でも、米国内の物価高などに危機感を持った市民などが各地で反対デモを起こしています。

 この政策は、米国内の製造業、農業を守り、雇用の増加、安定を狙ったものですが、その狙い通りの成果を上げられるかは非常に不確かであるとも言えるでしょう。

 そもそも、米国第一主義で、自国だけいい目を見ようと考えているのは、非常に前時代的だと思います。現代の世界は、移動手段、通信手段の劇的な進歩により、地球が非常に狭いところとなっていますので、どのような事でも世界全体を考えないでは済まされないような時代となっていると思います。

 つまり、自国が安全で豊かな国になろうとするのなら、世界全体が安全で豊かな場所にならなければ実現出来なくなっているのです。ということで、もしも米国がいくら自国だけ豊かになっても(そうはならないと思えますが)、世界の中での貧困がいずれは戦争や紛争を引き起こし、その影響がいろいろなところに飛び火することを防ぐことはもはや不可能な状況になっていると思います。9.11同時多発テロのようなことだって、再び起きることもあるでしょう。製品だって、米国で無理やり作ることで、米国の消費者にとって、マイナスとなる製品しか届けられなくなることもあるのです。

 このような狭い地球に必要なことは、狭い愛国心ではなく、博い協調の精神なのです。それぞれの国が得意なことで、世界に貢献し合い、弱い部分はお互いカバーすることで、同時に豊かなになるように、手を携えながら、進んで行くことが必要なのです。

 ビジネスの核心は、如何に差別性の高い製品、サービスを提供することだと思います。いくら関税で調整したって、売れる製品は売れるし、売れない製品は売れることは無いのです。正確に言いますと、製品の機能にそれほど差が無い場合は、価格で勝敗はつくと思いますが、関税で調整するようなことでは無く、自国民の生活を考えれば、品質が担保されていて安い製品が輸入されることは悪く無いのです。その代わり、差別性ある製品、サービスを提供することで、国内の雇用を賄えればいいのです。世界のあらゆる国が、自国で得意なことで世界に貢献し合うという分業構造が出来れば、そして、関税や為替などと言った特殊なハンディを排除出来れば、世界のどこに住んでいようが、一番の製品、サービスを享受出来るようになり、世界全体の生活レベルが底上げされるのです。

 もし、米国を世界トップの偉大な国にしたいと思うのなら、前述したような自由で良い製品が良いと評価されるような公平な世界を実現する為に広く世界に働きかけ、主導権をとって、世界を引っ張って行くべきだと思います。今回の関税政策はそのような理想の世界からは全く逆行するものなのです。

 国境なんて、世界全体が豊かになるという世界ではほとんど意味を持っていません。差別主義者、利己主義者が自分の地位、権利、富、主義を守ろうとする為に存在しているだけの物なのです。

投稿者

弱虫語り部

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