米国トランプ大統領に関税政策を進言した側近、ブレインのひとりに、NHKがインタビューした番組を見ました。

 今回の関税政策の狙いについて、次のように説明していました。「現在、米国では大卒ではない労働層の賃金はあまり上がっていません。彼らが働いている製造業が海外からの低価格の輸入品で苦戦を続けています。米国は大きな貿易赤字を抱えていて、ちょうどそれが、不当な価格差から生まれているのです。つまり、米国から多額な金が海外に流れているのです。この不公平な状態を正す為に、今回の関税政策を実行しました。そのことにより、米国内の製造業を蘇らせ、そこに従事する労働者の賃金を上昇させたいのです。」大体このようなことだったと思います。

 この説明は一見すると正しいような感じがしますが、視野を広げて、この問題を考えますと、どうも都合のよい論理だと思えて来ます。元々、貿易では赤字であっても一人当たりのGDPでは、米国は日本の約2~3倍となります。それなのに、労働層の賃金が低いと言うことは、製造業は悪くても、IT関連やサービス関連など他の分野で稼いでおり、また富裕層がかなり多くのお金を貰っているということなのです。つまり、米国において賃金格差は相当に大きいのです。法外な報酬を得ている富裕層が多数存在する米国ですが、トランプ大統領以下の政権中枢の人間はすべてかなりの豊かな生活をエンジョイしているのです。しかし、だからと言って自分達の得ている金から貧困層に還元することはありません。そのような事実を隠し、悪いのは外国だとして、悪者にして、彼らから金を取り返そうと主張し続けています。このような理屈の延長線上に今回の関税政策もあるのです。

 トランプ大統領の属する共和党の指示基盤は労働層が多く、彼らに心地良い話を作る為に、関税政策により、米国の製造業は復活するのだと訴えて来ているのです。しかし、労働者達に気付いて欲しいのは、自分達の生んだ生産物から得られた金が海外品の為に減少していることだけではなく、どれだけ多くの部分が富裕層である資本家や経営幹部、ホワイトカラー層に搾取されているということなのです。

 米国の雑誌で毎年世界の長者番付が発表されますが、資産が数兆円はおろか数十兆円を超す富裕層が米国に多数存在するのです。マスク氏もトランプ氏もそのような超富裕層ですが、そのような人物達が米国の国政を動かしているのです。自分達が労働層からどれだけ搾取しているかということには目を瞑り、外国を悪者にして、さらに資産を増やそうとしているのだと思えます。

 このブログのテーマであります幸福に関して言いますと、どれだけ多くの富を持とうが幸福度が上がる訳ではありません。食べるのに困らないだけの富があれば、人は幸福になれるのです。その鍵は、平穏な環境、健康、気の合う家族や友達、そして、打ち込むことの出来る事があれば、かなり高い幸福度を得られるのです。権力者、富裕層達がこの真実を分かっていれば、格差は減少する方向に動く筈です。

 しかし、そのような幸福を見つけられない人間は限りなく欲望を達成しようとします。それが権力者や資本家、経営者で、際限無く金儲けをする人達なのです。彼らが真の幸福を求めたいのなら、膨大な富から多くを社会に還元することがいいのです。今の米国でも、そのような格差の解消に事が進めば、海外を敵に回して立ち回る必要などないくらい、十分な富が今日の米国でも既に目の前にあるのです。

投稿者

弱虫語り部

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