安倍元総理の頃から、同一労働同一賃金を進めるとしていました。一般企業には、派遣などの非正規労働者への労働条件、最低賃金などの改訂が行われて来ています(実態は掛け声だけ大きく、まだまだだとは思いますが)。一方、公務員にはこの適用は及ばず、労働時間がさほど変わらない非正規公務員の平均年収は正規公務員に比べ約三分の一程度であり、改革が望まれています。これに対し、総務省の通知で、昨年夏から期末手当(賞与)が支給されるようになりましたが、自治体では、もともと旧制度においては月収に賞与分が含まれていたからと月次給料が下げられてしまって、結果として年収として以前より減収になってしまったケースが多くみられるとのことです。自治体としては、市民への手前、総人件費を上げたくないという思惑があり、結局、賞与を支給するということだけ新制度に従いはしましたが、本来の狙いである非正規公務員の待遇改善にはならず、本末転倒の結果を導いてしまいました。結局、正規と言われる公務員の待遇を守ることを優先して、安価賃金の非正規公務員を増やして、そちらに労働負荷のしわ寄せをして、市民には、表面上、総人件費を抑制しているとお茶を濁しているのです。総務省もそのような抜け道を用意し、基本的に、賃金の詳細は地方自治体個別の事情があるので、決めるのは自治体サイドであると逃げ腰となっています。結局、表面上だけ取り繕うという手法で、本当に困っている人々を助けようとする本来の目的を考えているひとが政府にも、官僚にもいないのかと思ってしまいます。
ことほど左様に官僚というものは、税金を利用して安定した生活を保障される体制を維持することを「隠れた真の目的」とした一大組織なのです。今回のブログの表題を〈官吏?〉としたのは、官吏とは明治憲法の時代の役人を表わす言葉で、私は皮肉を込めて、この旧態依然とした現代の役人をこのように表しました。本来、役人も政治家も市民、国民に使える僕(しもべ)として、公僕と呼びたいのですが、残念ながら、実態は、権力を背景に市民、国民に接していた官吏と同じ穴のムジナのような気がします。真面目に市民のことを考えて働いておられる役人の方も多くおられるとも思いますが、政府、首長、官僚幹部が役人の本来の使命である公僕として最大限の成果を出すようには公務員全体の舵をとっていないことが最大の原因ではあると思います。
組織が大きくなればなるほど、その組織に属する個々のレベルで担当する仕事が、本来の目的である市民、国民の為に何を為すべきかとの繋がりが見え難くなります。だからこそ、この大きな組織を本来の目的に照らしてどうマネージメントするのかということが非常に重要でありますし、そのような能力を持った人達が、政府、首長、官僚幹部に登用されるべきなのです。実態は、特別な待遇や権利を獲得し、維持するという保身を優先した、選挙、出世がありきの人間が多く集まってしまっています。この構図を変革することがないと、我々国民、市民のことを一番に考える政府、自治体は出来ないと思います。