五年前の東名高速あおり運転死傷事故の差し戻し審で、本日、危険運転罪が成立し懲役18年の実刑判決が出ました。あおられた側の車の夫婦が死亡し、お子さん二人が残された痛ましい事故だったので、印象深く記憶に残っています。当時、マスコミもかなり大々的に取り上げていて、あおり運転の危険性を認識した事件でしたが、その後もあおり運転は頻繁に起こっているのも事実です。
あおる側はちょっとした事柄に腹を立て、相手を威嚇するようにあおり運転をしていることが多いように思いますが、多くは悪いのは相手の行動だと、その仕返しにあおり運転をするようです。今回のケースもサービスエリアの駐車場で、被告の駐車場所が邪魔だと注意されたことに腹を立てたようですが、裁判でも、自分は悪くない、危険な運転などしていないと無罪を主張していました。
これだけあおり運転が報道されていますが、いっこうに無くなる気配はありません。というのも、あおり運転を起こしたものは、相手の行動が悪いと頭に血が上ったうえに犯行に及ぶのですが、本人は自分は悪くない、相手が悪いと判断しているので、このようなケースが後を絶たない理由だと思います。自分を中心にしかものを考えられないタイプの人は、事件が起こった瞬間に、自分の行為が世間で問題視しているあおり運転だと認識していないように思います。自分だけは違うのだと思いやすいのも、人間の陥りやすい特性かもしれません。そういう特性があるからこそ、冷静になって自分を第三者の目から見てみたらどうなるのかを意識することが必要です。
それぞれ異なった色々な考えを持った人間がこの世界に非常に多く住んでいるのですから、自己中心の考え方では、周りのひと、関わった人達とぶつかるばかりです。各々自分が正しいと主張したら、生まれるのは諍い、争いばかりとなります。だからこそ、第三者的に自分を見る、他人の立場に立ってものを見るということが非常に有益な方法なのです。このことを習慣的に出来るようになりますと、いろいろなことが見えて来ます。他人を理解することが出来ますと、そのひととどのように付き合ったら良いかの具体策が見えて来ます。そのことだけでも人間関係の難しさ、煩わしさが軽減されます。出来れば、両方向で(お互い)、このような考え方をすれば、さらに円満な人間関係を構築できるようになりますし、何かあっても両者で合意できる何らかな妥協点を見いだせる可能性が非常に高まると思います。これは夫婦、親子、友達、仕事関係のような自分のすぐ近くだけに留まらず、ひいては組織、国のような大きな関係にも非情に役に立つと思います。何か問題が起こったとき、冷静になり、自分の振る舞いを第三者的に見たり、相手の立場に立って考えることを是非実践してください。そうすれば多くの事件や衝突が回避される筈です。