巨大IT企業のグーグルやフェイスブック(現在メタ)の利益はネット広告に支えられています。ネット広告が出現する前は、広告と言えば、テレビ、新聞、雑誌などのマスメディアやダイレクトメール、看板などが大半を占めていたと思いますが、今やネット広告が60兆円を超えるビックビジネスへと成長しています。その反動で、これまで花形産業として、多くの広告収入で我が世の春を謳歌していたテレビ局などは厳しい収益悪化に見舞われています。
ネット広告の特徴は、我々消費者がネットで検索したデータや位置情報のデータをもとに、ニーズのありそうなターゲットをピックアップして、ピンポイントで広告を提供することにあります。これまでの無差別の対象に広告を届けることに比べ、ビジネスにつながる確率が向上するという訳です。
しかし、個人的には、自分がプライベートで検索した結果がいつの間にか広告業者に渡っている事実に何か薄ら寒さを感じています。個人情報保護についていろいろと取り沙汰されている現代である割に、当事者の許可も無く、利用されていることにも何らか問題が出て来るようなリスクの気配を感じます。また、多くのクッキーやメールなどで提供される広告の大半がそれほど関心がないものであることやそのときに実行しているネットでの作業を邪魔するものとして非常に煩わしさも感じています。テレビのコマーシャルが煩わしいのとはまた違う、もっと邪魔だと感じているのは私だけでしょうか。確かに、IT技術はビックデータを蓄積し、瞬時に処理するほどの進歩を遂げてはいますが、まだまだ改善の余地があるのではないでしょうか。個人データが悪用されて犯罪に利用されることもいろいろと考えられますし、ネット広告が煩わしくなればなるほど、利用者が裏に犯罪が隠れている画面に胡麻化されることも増えるかもしれません。アップルが、アプリが利用者の行動を追跡する場合、利用者の許可が必要な新しい仕組みを昨年から取り入れていますが、このようなプライバシー保護の動きがもっと進むことが必要だと思います。
いずれにせよ、ネット社会は便利を提供している反面、新たなリスクを多く包含していることを忘れずに、対応していくべきだと思います。