衆議院議員選挙を経て、岸田総理率いる新政権が発足しました。これからお手並み拝見というところですが、給付金配布政策のゴタゴタで見えて来たことを述べて行きたいと思います。
今回も自民党、公明党の連立政権を維持していますが、選挙でのお互いの公約はバラバラで、例えば給付金の配布ということはどの党も公約には上げていましたが、具体策が党によって異なっていました。公明党は子供を差別してはいけないなんて言う理屈で無条件配布を主張していましたが、そもそも子供達ひとりひとりの環境に既に大きな格差がある現状を差し置いて差別しないでなんて言う綺麗ごとを言うのは何なのでしょうか。比較的裕福な某宗教団体に属する家族に広く配布したいという本音が透けて見えるのは私だけでしょうか。自民党は、さほど困っていない家族に配布する必要がないという世論に応えるべく、所得の条件を是非入れたいということで粘りましたが、結局は、年収９６０万円というどちらかというとそれほど困窮していない層も含む線引きで妥協しました(某宗教団体に属する家族も多く含まれるであろう線で)。
どちらの党も、本当に困窮している子供達を本気で救済する気があるのでしょうか。それより、支持者に公約したことの繕いばかり考えているとは言えませんでしょうか。党の名誉やパワーある支持者のことを気にしていては、本当に必要なところへ効果的、効率的に血税を使い救済することは難しいでしょう。コロナ禍に突入して以来、相当な額の税金を投入して来ましたが(アベノマスクしかり、全国民への一律１０万円給付などしかり)、効果的、効率的に税金を使ったとはとても思えません。もったいない限りです。国民から預かっているお金だとの認識が感じられません。自分の懐が痛まないお金だからでもあるのでしょうか、本来の活用ではなく、国民の状況をよく知らない官僚などが作ったそれらの策を認め、結局は権力構造の維持に使っているようなイメージです。
このことから明らかに、コロナ禍の歴代トップは、自身を犠牲にしてでも国民を救済するというAEタイプのひとではないと思えます。ここに大きな問題があります。口では国民の為とか言っていても、結局は己のため、その為に党のため、その為に支持者のためとなっているのでしょう。そう言うと、総理達は自分達が選挙で勝たなければ国民のための政策も実行できないのだから、選挙を見据えた行いも必要なんだと言うでしょう。権力というものは絶大なものです。だからこそ、謙虚にならなければいけません。権力を持たない一般国民を助けるためには、富や権力にそっぽを向くことも必要なのです。それだけの覚悟を持ってやって欲しいのですが、火の粉が自身を燃やすくらいにならないと、WEタイプのひとは思い切ったことはできない傾向があります。火の粉が、底辺の人々を襲っていても所詮、他人事なんです。逆に、困っている人達の気持ちを理解できるのであれば、彼らに寄り添った効果的な策を、例え裕福な支持層に反対されたとしても、断交するはずです。
岸田首相は、ひとの話をよく聞くことが得意だと言われていますが、多くのひとの話を聞くのはいいのですが(実際は声の大きなひとの話ばかりが耳に入っているような気がしますが)、どちらかと言うと自分の立場を悪くしないように調整することや折衷案を考えることがお得意なような気がします。今回のような難しい問題のときは、自民党の案、公明党の案から折衷案を考えるのではなく、幅広くいい案を聞いて、それを取り入れるくらいの柔軟性が必要です。そんなことしたら、面子が丸つぶれだとか、いろいろと批判されるから出来ないというのでは、まだまだ己のプライドや利益を考えているのです。例えば、いち早く困ったひとに支援を届けるためには一旦条件を設けないで給付して、本当に困窮していないひとからは年末調整、確定申告のときに所得などを前提に税金で回収するという案を説かれているひとがおられましたが、それがもっとも早く、効率的、効果的に、必要な所を支援する案だと私は感じましたが、自公からそのような案を検討しようとする声すら聞こえませんでした。国全体の非常時には、党や派閥などに関係なく全国民の英知を結集して、そのなかで最高の策をピックアップして、決断するリーダーが必要なのです。自民党総裁選の演説や討論会で、岸田首相はこの国を良くするには国民の間の格差を是正することが必要だと本気で思われていると感じました。しかし、総理に就任されてからは、後ろ盾の大物議員などからの圧力で腰砕けになられたようで、非常に残念です。総理総裁を目指されたときの初心を思い出していただきたいと切に願っています。総理になることがゴールではなく、多くの国民を幸せにする為に総理になったんだということを噛みしめて。