大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を毎週視聴しています。最近は、源氏が平家を滅ぼし、武士の頂点に君臨したその後の話が進んでいます。頼朝は平家を討ち、異母弟達とともに父の仇をとったのですが、その後、平家討伐でも貢献した義経、範頼の弟達を死に追いやります。権力の頂点に達したものは、自分の地位を脅かすものに過敏に反応した結果、例え血を分けた兄弟でも殺してしまうのです。
 権力を握るという野望を持つものは、その目的の為に、手段を選ばず多くの敵を滅ぼしていきます。そして、一旦権力を握りますと、今度はそれまでは厚く信頼を寄せ、重要な使命を任せて来た腹心の部下に対してさえも、いつ何時、自分の寝首を掻かれるのではと猜疑心の塊になってしまうのです。今のプーチン大統領や金正恩総書記もそのような状態かもしれません。自分自身が権力を奪い、維持するためにどんな非情な方法をもとって来たものですから、周りのものも同じように狡猾で信義など無く自分を追い落とすのではないかと思い込んでしまうのです。そのような状態になりますと、何も信じられなくなります。その為、信じられるのは武力だけであると考えるようになり、国民が貧困であろうが、飢えていようが、まず第一は武力を高め、それを活用して他国を脅かすことになるのです。金正恩総書記が長距離核ミサイルの開発に注力したり、プーチン大統領がウクライナがNATOに入りクリミア半島やドンバス地方を奪い返されかねないかと、さらにロシア本土も攻撃されないかと恐れ、その前に先制攻撃でウクライナを侵略したのも、そのような心理も関係していると思います。
 独裁者と呼ばれる権力者は本当ならば頂点に立ち大きな野望を達成した満足感に浸れるはずが、それは一瞬で、常に猜疑心に苛まれていると思います。大きな富も、絶大な権力も、平穏な心を保たせてはくれません。本当の幸福感は、多くの人達が平穏で豊かに暮らすという土台の上にしか存在できないと思います。

投稿者

弱虫語り部

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