これまで、国や地方自治体の首長、議員など政治家が、多くの人々が幸せに暮らせるようになるための鍵を握っていることをお伝えして来ました。しかし、現実はそのような視点を持ち活動している政治家はそんなに多くないということも、コロナ禍のような非常事態の中で浮き彫りにされて来ました。国民を引っ張る議員にはAEタイプのひとに就いていただくことが理想なのですが、現在のシステムでは、そのようなひとが政治を目指し、立候補して選挙で選ばれることが少ないのではないのでしょうか。せめてWEタイプのひとでも国民の生活を第一に考えるようになる環境を作り上げなければなりません。
今、国会議員の通信費が問題になっていますが、議員に自由になるお金(所得と呼んでも可笑しくないのですが)は年間3~4千万円にのぼるそうです。大手企業の役員に匹敵する額です。それも選挙に勝ちさえすれば、特に成果を上げなくともそれくらいのお金が保障されているのです。選挙期間だけ必死に選挙運動して当選すれば、後は適当にやっていくことも可能です。このような特別待遇を目当てで議員になるひとが多く存在するのもしょうがないことなのです。何故このように優遇されるのかと言えば、生活に何の心配も無く、政治活動に専念できるようにするということなのでしょうが、この現代であっても本当に必要でしょうか。まずは、金や待遇を目当てに議員になりたいという本音を隠しつつ、口先では全身全霊で国民のために仕事をするというようなひとを排除しなければなりません。ということは、選挙期間中、当選したら何を実行するかを綺麗ごとだけではなく、具体的にいかにしたら出来るかを広く有権者に主張し、対立候補とそのことを議論することを唯一の選挙運動とします。それでも、巧妙に口がうまいひとを排除できないので、議員の待遇そのものをあまり魅力の無いものにすれば、議員の特権とは関係なく国民のために仕事をしたいひとでないと立候補できなくなります。もちろん外交などで、世界レベルの社交をする必要がある場合もあるでしょうし、国民の生活を広く見聞きしたり、いろいろなひとの意見を聞くことも必要でしょうから、そう言う活動に必要なお金は、すべて一件毎に必要な理由、領収書添付での清算にすべきです。もちろん、事前に払うお金に困るようなときは、公的なクレジットカードを使用したり、前渡しで後日清算という方法は必要でしょう。つまり、議員活動で必要なお金は、すべて透明という条件で、公費で負担し、個人の報酬は、国民の平均レベルの生活に足りる額にする。まあ国民の平均年収である4~5百万円でいいのではないのでしょうか。そんなことで、優秀な人材が集まらないというのは、強欲なひとの言う常套句で、本当に身綺麗で人のために奉仕することにやりがいを持てるひとなら、政治家を目指してくれると思います。そのようなひとをピックアップすることが狙いなのです。
まとめますと、
① 議員の報酬は国民の平均年収レベルとする。
② 必要な経費は、すべて理由書、領収書添付が必須で、実費精算とする。
③ 公費にしか使用できない公的なクレジットカードを支給する。(必要性を判断し、費用の前渡し後日清算も認める)
④ 選挙活動は、議員の基本方針、政策とそれを実現する為の具体策を広く知らしめることと、それについて、対立候補との議論だけで構成する。
⑤ 選挙委員会はその為のインフラを整備する。例えば、マスコミ(インターネット、新聞など)による候補者の基本方針、政策の周知を実施し、テレビ、インターネットでの演説会、候補者討論会を設定する。
⑥ これにより、候補者を街宣活動、ビラ配りなどと言ったそれまで非常に労力をかけていた事柄から解放し、その分を政策論争に集中できるようにする。
このように議員の報酬、歳費や選挙を合目的にシンプルにすることにより、公費も、候補者が負担する費用も極少になります。また、選挙に多大なお金がかかるということで出ていた弊害がなくなるのもこの案の効果です。
逆に、これまでの既得権益を享受して来たものや、選挙ビジネスで甘い蜜を吸ってきたものからは相当抵抗されるとは思いますが、多くの人々にプラスを与えるために断行すべきと思います。
そういう意味で、このような議員待遇改革、選挙改革は当事者である議員が出来るとは思えません。第三者で構成される委員会で検討し、改革案をまとめ。国民投票で決めるということも必要かもしれません。難しいのは、第三者委員会のメンバーをどうして選ぶかだと思います。そのことはまた考えたいと思います。