ゴルバチェフ元ソ連大統領が亡くなられました。ソ連の崩壊と併せて、当時の東欧諸国の社会主義からの転換の流れを容認したことで、これらの各国の民主化に貢献したと言われています。また冷戦終結、核軍縮、関係各国の民主化に貢献したとして、ノーベル平和賞を授与されています。このように西側諸国からの評価は高かったのですが、ロシア国内における自由経済の導入による経済問題、格差問題などで、国内での評価は高くはなかったようです。また後年、旧統一教会により資金援助を受けていたことなどでも批判も多かったようです(ここにも旧統一教会が出て来ることに啞然とします)。

 強固な社会主義社会に楔を打ち、民主化、自由経済化の流れを作ったことは簡単に実行できることでは無く、彼の貢献を認めざるを得ません。しかし、本質的にそれらを根差させることが出来なかったのは、彼に続く実践者に恵まれなかったからかもしれません。自由経済の未熟さに付け込んだ一部の財閥が多くの富を握ることになり、それによる格差社会の出現、貧困化により、一般民衆も旧ソ連への懐古感が高まり、プーチン大統領への多大なる支持にもつながったのでしょう。しかし、ウクライナ侵攻下、強固な情報統制、反対運動への異常な取り締まりを見ていますと、旧ソ連の統治時代とさほど変わっていないと思われますので、ロシアの民主化はかなり後退してしまっているようです。ゴルバチェフ氏が先鞭をつけた流れをうまく続けられなかったことは、ロシア国民にとって非常に残念なことだと思います。彼らは本当の民主主義を味わうことなしに今日のプーチン独裁政権に支配されてしまったのですから。

 プーチン大統領は独善的な考えを推し進めて、ウクライナだけではなく、ロシア国民の多くの生命を使い捨てています。戦死者の正確な数や実態を決して漏らさないようにして、自国民の犠牲感を隠蔽させています。真実を隠さなくてはならないという事は、プーチン大統領のやっていることが正しいとは言えないことを証明していると思います。

 ロシア国内でゴルバチェフ氏が評価されなかったことに、ロシアの悲劇が隠されているのです。

投稿者

弱虫語り部

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)