東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件が拡大しています。大会組織委員会の元理事への複数の企業からの贈賄容疑で、元理事や企業側のトップ、幹部の逮捕が相次いでいます。以前、このブログで、オリンピックの金満体質について警鐘を鳴らしていますが、やはりと言う思いです。
 
 私は、「57.クーペルタンの描いた世界へ」では、クーベルタンの唱えたオリンピック精神に立ち返り、改革しなくてはならないと主張しています。今のオリンピックはプロ選手の参加を認めたことで、非常なビックビジネスとも言えるような状態が続いています。もともとオリンピック事業は非営利目的であると言うことで、オリンピック協会と言う単一の非営利団体が大きな権限を保有できているのです。国際オリンピック協会IOCにつながる各国のオリンピック協会の独占事業と言ってもいいのではないでしょうか。一方、それも非常に大きなお金が動く訳ですから、この大事業を競争無く動かせるオリンピック委員会を様々な思惑で見ている金儲け屋も多く存在するでしょう。

 以前、批判したのは、IOCの会長が、約3千万円の年間報酬を受け取っているだけに留まらず、公務と称して、移動にはファーストクラスを使用したり、一流ホテルのスイートルームに長期宿泊したりと、一般の人から比べると法外な待遇で活動していることをはじめとして、多くの散財をしているのに疑問を投げかけました。オリンピック開催に関わるときには、それらの費用は間接的には開催国の税金で賄っているとも言われています。このような状況は、日本オリンピック協会JOCでも同様で、会長の年間収入は約3千万円と言われています。オリンピック放映権料や公式スポンサー料などといった何十兆円レベルの収入が見込めるのに対し、競技設備投資、運営に関わる費用など膨大な費用が掛かる訳で、足りない部分は開催国、都市の税金で賄われています。これほど大きなビジネスにも関わらず、オリンピック委員会の独占状態である訳で、JOCの幹部が別途作った法人へのコンサルタント料名目でのお金集めも簡単に思いつくのも当然だと思います。

 私が言いたいことは、オリンピックとは、「スポーツを通して調和のとれた人間を育てよう、世界平和を広めよう」というクーベルタンが唱えた基本理念が本来の目的を現わしていると思います。読み替えますと、スポーツを通じて、心身ともに健康な人間を造るというのは、教育の在り方を示しています。そのようにして育まれた人間は、国、人種、民族、性別などの枠を超えて、他人を尊重し、そのことで平和な世界を築いていくことなのです。決して、世界最高レベルのスポーツを利用したお金儲けが目的ではないのです。そうであれば、膨大なお金が関わるものにしてはいけませんし、それだからこそ、オリンピック協会が独占して、運営することが許されているのです。もし今のようなビッグビジネスであるのなら、競争原理から外れた独占は、正当な状態である筈もありません。このような間違った状態が、お金に関する犯罪を生む温床となってしまうのです。

 こういうことを念頭に、どのようにオリンピックを改革したら良いかは、「52.オリンピック改革の視点」、「57.クーベルタンの描いた世界へ」に記していますので、そちらもご覧ください。

投稿者

弱虫語り部

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