オレオレ詐欺にはじまり、還付金詐欺、税金追徴詐欺、果ては、リフォーム詐欺までありとあらゆる手で高額なお金を騙し取る犯罪が減少するどころか増加しています。
これだけ世間に知られた犯罪なのですが、何故無くならないのでしょうか。背景には、認知機能の衰えた高齢者の一人世帯が増えていることがあるのではないのでしょうか。自分自身では認知機能が衰えていることを認識しにくいことと自分だけは騙されないという心理が詐欺集団の付け込む大きな穴となっていると思います。
このようなことは判っていても、打てる手としては、政府、自治体、警察などの広報活動でこのような犯罪を知らしめることくらいなので、なかなか詐欺を防止する決め手となっていないのでしょう。ある自治体の警察署では被害の多かった地区の世帯を個別訪問して、注意喚起して回っているということもあるようですが、そのような網をもかいくぐって、詐欺の手が伸びることを完全に防ぐことは出来ないと思います。
人間誰もが歳をとり、呆けることもあります。そして、高齢者だからこそ、長期間真面目に働いて貯めたお金を保有しているケースは多いと思います。本人が認知機能の低下を認識できれば、子などにお金の管理を委ねることで簡単に高額なお金を扱うことが出来なくなるので、安心な方法ではあります。問題は、認知機能低下を自分自身では認識しにくいこと、認識できた場合でも、お金の管理を子供などに委ねることを嫌うひともいることです。弁護士や司法書士などのような第三者に委ねることもひとつの手だと思いますが、管理者が私的な個人事業主であるので、悪の手先となる可能性がゼロとは言えません。つまり、あらたな詐欺の種が出来てしまうことが考えられます。
という事は、やはり高齢者資産の公的な管理制度を作ることが必要なのかなと思います。もちろん、役所への信頼感の有無がこの制度の成否の鍵を握っていますが、本来、高齢者の公的資産管理は、その資産を反社会的組織の資金源になることを阻止でき、当人が亡くなられたら、相続税の速やかな徴収など資産を社会に正当に還元されることが出来る制度だと思います。もちろん呆けた後の高齢者自身の意思をどこまで反映すればいいのか、相続人がどこまでの権限を持てるのかなど、細かい運用については、課題も多いと思います。しかし、手をこまねいていれば、多くの人々を助けることができる規模の高額なお金が悪の資金源となってしまうことがこのまま続いてしまうのです。