東京の路上で、母親が押すベビーカーの中から乳児を拉致しようとした男が通りすがりの人達によって阻止され、逮捕される事件が起こりました。この犯人は子供が欲しかったと言うような供述をしていて、精神にトラブルを抱えているそうです。
このような通り魔的な犯罪が起こったときに、犯人が精神に異常を兆していることがよくあります。今回は未然に防がれましたが、重篤な結果につながった事件も多く報道されています。中には、犯人には責任能力が無く、罪に問えないようなケースも少なからずありました。現代の社会には精神を病んでいる人が多くおられます。その大部分は、他者に危害を加えたりはしませんが、その中の極一部分の人が全く罪の無い人を傷つけたりすることもあるのです。そして、その被害者や家族は理不尽な犯罪に対してただ泣き寝入りするしかありません。このような事件がときどき起こるのですが、運が悪かったというだけでこのまま放置していいのでしょうか。
精神を病んでいる人の人権は守られなければなりませんが、かと言って、極一部の人ではあっても一般社会の中で普通に暮らして、犯罪を起こすことを見過ごしていいのでしょうか。この問題は非常に難しい問題なので、ほとんど手を付けられずに来ました。
海外では、性犯罪常習者や異常変質者にはGPSチップを埋め込んで、監視する国もありますが、日本では、人権問題、プライバシー問題に慎重なので、なかなかそのような手段を実行するにはハードルが高くなっています。また、監視するだけでは、犯罪を完全に防ぐことはできないので、もっと効果的な手段も併せて実施する必要があるのでしょうが、いずれにせよ対象者の自由を束縛しなければならないことになる難しい判断をしなければなりません。
少なくとも私が言いたいことは、異常者の人権より理不尽に被害を受ける何の罪も無い一般の人々を守ることの方が重たいと思うのですが、皆さんはどのように考えておられるのでしょうか。今回の問題は私自身では非常に悩ましく結論を導くことができませんでしたので、問題定義とさせていただきました。