今のロシアの状況は、ある切り口から見ますと、戦前の日本と非常に似通っています。
日本は中国、東南アジア、太平洋諸島を欧米列国から解放する為にと言う大義名分で日中戦争、太平洋戦争を起こしました。ロシアはウクライナ東部のドンバス地方の親ロシア勢力を解放する為としてウクライナへの侵略を始めました。両国の言い分は、国際社会では全く受け入れられなくて、孤立化の道を突き進むことになりました。かつて日本は中国東北地方に傀儡政権を立て、満州国を作りました。今、ロシアはクリミアに続き、ウクライナ東部に新ロシア派勢力の政権を建て、独立国家として独断で認定しています。しかし、戦闘については日本軍もロシア軍も戦力を見誤り、無謀な戦いに終始しました。またどちらも国内での情報統制により、戦争の目的や戦況について、国民に本当のことを伝えないようにしました。
といろいろな意味で共通点が即座に浮かびました。違う点は、ロシアはプーチン大統領と言う独裁者が全てを支配していますが、かつての日本は昭和天皇の威を借りる形で軍上層部の独裁となっていました。また、情報環境の差で、当時の日本人には盲目的な愛国心が蔓延していたのに比べ、現在のロシアの一般レベルでは、民族的にも近いウクライナとは直接戦いたくないという気持ちが強く、大部分の将校、兵士の士気は高いとは言えない状態ではあります。
いずれにせよ、共通点の多いことを考えますと、日本がたどった没落への道をロシアも歩む可能性が高いことが予想されるのです。
このような考察も出来ないくらいに、今のプーチン大統領は自身の独善的な考え方で目が曇り、視野が狭められているのでしょう。また、周りにイエスマンばかりを登用した結果、プーチン大統領の意に沿わない指摘はされなくなり、独裁者には正しい判断が出来なくなっているのです。
歴史には先達たちの貴重な経験が多くあります。それを教訓にするかしないかで、人類の進歩の速度が決まります。今また歴史が繰り返され、ある意味起こさずに済んだかもしれない破壊と殺戮が人類の先行きを脅かしているのです。