クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で爆発が起こりました。これをウクライナの攻撃だとして、ロシアは、ウクライナの首都キーウなどの主要都市に、80発以上のミサイル攻撃を実行し、プーチン大統領はクリミア大橋爆破への報復措置だと主張しました。これに対して、ウクライナ当局は、このミサイル攻撃でウクライナ市民ら14名が死亡し97名が負傷したと発表しました。
ウクライナ西部地域からのロシア軍の撤退により平穏な状態が続いていたキーウに再びミサイルが降り注ぎました。通常の生活が戻っていた市民らに再び恐怖が訪れました。ロシアはドンバス地方などの解放をこの戦争の目的として来ましたが、今回のようなことで簡単に戦線を拡大させると言う、ご都合主義的な対応が為されました。このようなロシアの反応は、核兵器の使用に対しても自制心を失い実行するかもしれないと言う悪夢を呼び起こす行為だったと思います。もしかしたら、そのような狙いがあった非情な攻撃だったのかもしれません。
報復だからと市民を殺害し、都市を破壊したと堂々と主張する姿は、まるでマフィアの抗争に出て来るボスであり、卑しくも大国の指導者が為すようなことではないと思います。逆に考えますと、既にプーチン大統領は多くの人々を導く賢者では無く、血生臭い報復も厭わない独裁者となっているのでしょう。
歴史には、多くの国、民族、宗教間の争いで、血で血を洗うような闘争を繰り返して来ました。それは、ひとの復讐心と言うものを是としてしまうと、報復の応酬は際限無く続いてしまうものだからなのです。そのことで、得られるものより、失うものが多すぎるということを学んだ人類は、世界的な話し合いにより紛争を解決することに切り替えようと試みて来ました。しかし、今回のような状態では、元の泥沼に戻ってしまうことになってしまいます。各国の、特に大国の指導者は、これらの歴史にきちんと学び、暴力の応酬では無く、意見の応酬で物事を解決する努力を最後まで諦めずに突き進まなければなりません。それが第三者から見て妥当だと言う点で折り合うようにしなければなりません。
未だにこのような武力を用いない方法を実施できないのは、自身の行ないに後ろめたい事があるか、正当で合理的な説明が出来ないからでしょう。その為に、無理やり武力の強さだけで解決しようとするのです。その事に気が付かないロシア国民が多くいることが残念でなりません。