街を歩いていますと、特に住宅街で駐車している自動車が多く見られます。もしかしたら、マイカーを所有している家庭では、ほとんど使用されずに車庫に車が駐車している時間が非常に長いのではと思えてしまいます。
戦後間もなく、自動車の普及が始まったと思いますが、最初は業務用の車がほとんどで、マイカーを所有している家庭はかなり少なかったと思います。その後、高度成長期を経て、マイカーブームが起こり、一般家庭での車所有が珍しくなくなって来ました。一般の家庭でもそれだけ豊かな生活を享受できるようになったのです。昭和後期にバブルが弾けて、それから景気の停滞期が続き、今日に続いていますが、まだマイカーは廃れてはいないように見受けられます。しかし、最近の若者は、運転免許もとらず、ましてや車を所有しないひとも増えて来ていますので、これからマイカー所有者も減少していくかもしれません。現在の所はまだまだマイカーが街にあふれている景色があちこちに見られ、また、買い物でデパートの駐車場に行きますと、車の列が続いていますし、一人か二人しか乗車していない大きなワンボックスカーや大型車も多く見られます。
一方、最近は多くの製品やサービスの値上げが続いていますが、給料は上がらず、年金も目減りしている現実を見ますと、多くの国民の生活は逼迫しつつあるとも思われます。
この対比は何を現わしているのでしょうか。車は何百万円かそれ以上の高価な品物であるのは間違いありませんし、ガソリンだって高止まりしている状況なので、今の日本人の生活は、豊かなのか、そうでないのかよく判らなくなってしまいます。ひとつ考えられるのは、貧富の差が拡がって来ていることの現れかもしれません。もし、生活に窮している人であれば、製品価格が高く、稼働率が低く、高価なガソリンを大量に消費する車を所有できないでしょう。多分、それが可能な層はある程度豊かなのでしょう。そうでない層が車を必要とする場合は、必要な時だけレンタカーを借りるか、ある程度の頻度で使用する場合はカーシェアリングを利用することが賢明だと思います。特に、その使用用途に従って、最適な車を選べるので、無駄が無いことも利点です。
車が街に蔓延しているのですから、まだまだ車社会ですし、自動車産業は裾野までも考えますと非常に大きな雇用を賄っている重要な産業である訳ですし、その頂点に位置するトヨタなどの自動車メーカーの役員、社員は高待遇を享受しているのも事実です。
しかし、前述しましたような自動車の非効率的な使用状況や、まだまだ少なくはない悲劇的な交通事故などを考えますと、これからは大きな変革に晒されていくのは間違いないと思います。
街を歩いて感じた今回の話で、気が付いたことが二つあります。ひとつは日本国民の中の格差が益々拡がっているという事、もうひとつは、これまで日本経済を牽引して来た、そして富裕層が多数携わって来た自動車産業でも安閑としてはいられなくなっていると言うことです。