中国共産党大会が開幕しました。習近平氏が三期目の国家元首である総書記続投が確実視されています。冒頭の習総書記による実績総括の中で、貧困を克服し、ややゆとりのある社会の建設を達成した事などが報告されました。また、ゼロコロナ政策の成功と更なる続投を示しました。
一方、中国から伝えられて来るニュースを見ていますと、少子高齢化の問題が顕在化しているようです。過去の一人っ子政策により、結婚適齢期の男子は女子に比べ数千万人多くなっているそうです。さらに、結婚の慣習で、結婚時に男性が住居を用意しなくてはならないことや、女性に対して多くの支度金を出さなければならないことが男性の結婚に大きな障害となっているようです。上海のような都市部であれば、マンション価格は億単位の高騰を示していて、適齢期男性の平均年収を考えますと、とても自分自身で購入出来る若者は少なく、親に援助してもらえるような富裕層でなければならないようです。このようなことから、結婚率が上がらないようですし、例え結婚しても、一人っ子政策は無くなってはいますが、高い教育費から多くの子供を持つことも難しくなっているのです。
また、ゼロコロナ政策による、大規模なロックダウンなどによる市民への行動制限が深刻な影響を示していて、職を失う人、生活に困窮する人達も増えているのです。これに対して、党大会では、徹底したゼロコロナ政策で国民の命を守ったと自画自賛が示されたのですが、負の側面やその対策については言及されませんでした。
このようなことを総合しますと、多くの国民がややゆとりのある生活を出来るようになったと言うのは現実にそぐわないような気がします。確かに、以前に比べ、裕福な層が増えているのは間違いないのですが、国民が平均的に豊かになったと言うのはどうでしょうか。中国でも貧富の格差が拡がり、多数の一般層、貧困層に焦点を当てるような政策はまだまだ功を奏していないのではないでしょうか。そのような影の部分から目を逸らし、共産党の政策や成果を自画自賛する姿に、ここでも裸の王様状態が存在しているのではと思えてならないのです。
一党独裁政権の弊害はこのような独りよがりの状態で、議会、党大会などで、共産党員以外の幸せについて議論出来ないことにあるのではないでしょうか。