韓国ソウルで悲惨な事故が起こりました。群衆の中で将棋倒しになったり、強度に押し合って、圧死する事故は、世界のあちこちで起こって来ています。日本でも、明石の花火大会で11名がお亡くなりになった事故は記憶に近いです。そのようなことから、人が多数集まり、密集する可能性のあるイベントなどでは、それに備えた対応が為されるようになっています。

 警察の発表では、今回は主催者もいないハロウィンに若者が自発的に集まったもので、これほどまでの密集が起こると推定していなくて、130名程度動員された警察官は、スリや窃盗、喧嘩などに対応するような配置だったそうです。

 そうだからと言って、このような結果を招いたことに対して許される訳はないと思います。と言いますのは、私は、テレビでユーチューバー達が撮影した映像を見ましたが、事故発生時間の2時間以上前から、現場周辺では異常な密集が形成されていました。さらに、近くの地下鉄の出口からは人が継続的に流れ出ていました。この状況を見たら、少なくともその時点で、今回の事故を予測できたと思います。もしも、その時点で、この事故現場の路地の両側に、警察官が立って、そこに侵入するのを規制したり、そこから出るように誘導していれば、この事故は防ぐことが出来たと思います。

 周辺に何人の警察官がいたのか不明ですが、例えひとりの警察官がそのことに気付き、無線で現場近くの警察官に連絡をとり、先程述べたような対応を取っていればと、残念でしようがないです。

 確かに派遣された警察官は、窃盗やケンカを防止するようにと命令されていたと思いますが、本来、警察官の目的である市民の命を守るという最も根本的な使命を忘れていたとしか思えません。誰かひとりでも、機転をきかせていれば防ぐことが出来たと思います。事故が起きてから、1人の警察官が現場の坂道に入らないように必死に誘導していましたが、もう少し早めに対応していればと残念です。

 このブログの112.113.で、役人が目先の上司の支持、命令に従うことに留まり本来の職分を忘れていることや、197.で政治家が本分をわきまえていないことを述べて来ましたが、今回のケースも同様のことが言えます。

 本当のプロ意識とは、自分の職務の最終目的を忘れずに、常にその目的に照らして臨機応変に行動できることだと思います。上司に命令されたことだけをやっているだけでは、それはもはや機械でしかありません。今後、そのような仕事はすべてロボットに奪われていくことを肝に銘じた方がいいと思います。

 これは現在の教育の弊害とも言えると思います。日本も韓国も多くの国の受験は、教科書、参考書に記載された多くの知識を記憶したり、過去の問題を多くこなしたりするものが勝ち抜いていくようなタイプです。今の科学技術下では、データベース化されたような情報は、すぐに検索できるものですので、そんなものを正確に記憶することは無駄なことなのです。本当に鍛えないといけないのは、いかに早く必要な情報を取り出せるか、得られた情報を、どれだけ目的にかなったような解析を出来るのか、その情報や解析結果から、新しいことを創造できるかなのです。そのようなスキルこそ鍛え上げて、受験ではそのことを図るようなものにすべきなのです。
 
 参考書に出ていないこと、ノウハウ集、辞書、マニュアルに無いことには対応できなくて、社会人となり仕事に就いても、指示待ち人間になってしまう人では、複雑で多様な現代社会に貢献できないと思います。