ブラジルの大統領選挙が行われました。この国では電子投票が実施されていて、日本に滞在するブラジル人が日本の数ヶ所の投票場で投票している姿をテレビで紹介していました。ブラジルには日系移民が多く、その二世、三世なども日本に職を求めて多数入国しているようです。
大統領選は、現職のボルソナル氏と元大統領のルーラ氏の争いとなっていましたが、ルーラ氏が決選投票で勝利しました。日本に住むブラジル人の間では、圧倒的にボルソナル氏が支持されていましたが、本国ではボルソナル現大統領の貧困政策に不満の貧困層がルーラ氏を支持したものと言われています。ボルソナル氏は、ブラジルのトランプと呼ばれたりして、過激な言動が注目されていましたが、日本在住のブラジル人からは、何か大きな変化をもたらしてくれるという期待感から票が集まったようです。
アメリカ合衆国のトランプ氏への期待感と良く似て、ブラジル人の多くもボルソナル氏の過激な人格ではあるが、旧習にとらわれずに大きな変革を大胆に実行してくれるという期待感が続いていたのが、接戦まで健闘した要因だったようです。
確かに、閉塞した状況に不満を持つ人々は変化を望むことが多いと思います。但し、その変化が、一般民衆の生活を改善することにつながれば問題ないのですが、歴史的に見れば、過激なリーダーは独特の考え方を内に秘めていて、過去の慣習などにとらわれずに変化を成し遂げられるのですが、権力基盤が安定して来ると、特定の主義、思想を表面に打ち出し、それが別の問題を生んでしまうことがよくあるのです。
科学の分野やビジネスの分野では、そのような独特な強い性格のものでしか成し遂げられないことが多く、極普通の人間には難しいし、普通人がその考えを理解できなくとも、その成果が社会に貢献されるものです。しかし、政治の世界は違います。国全体、国民全体のことを考えて、陽の当たらない人達を作ってはいけないのですが、偏った思想、主義の人は、弱者を切り捨てることも平気な人がほとんどなのです。これまでの慣習や既成概念にとらわれないことは重要なのですが、それと同時に弱者や犠牲者を作ってはいけないのです。
理想は、多くの人々の立場を理解し、特に恵まれない弱者を救う為には強者に敢然と立ち向かうような信念と寛容の人物が、リーダーに相応しいのだと思います。
過激な人は多く存在しますが、それだけではリーダーに相応しくありません。自分の考え方や思想、信条と異なる人達にも理解を示すことができる寛容精神を持っているかと言うのが、キイポイントなのです。