G20出席の為、インドネシアのバリ島を訪問しているアメリカ合衆国バイデン大統領と中国習近平国家主席が会談を行いました。両国は、中国の台湾問題や中国内部での人権問題などで対立しており、お互いの経済制裁や東アジア近辺での軍事演習などで緊張が続いています。中国は武力で台湾統一を図ることを否定せず、それに対し、ベロシ下院議長が台湾を訪問して、台湾の民主主義を守る意志を示しました。そのような展開に、軍事衝突の危険性が益々上昇していた状況下での両国首脳による会談でしたので、大変意味のあるものと感じています。中国は、ロシアのウクライナ侵攻の推移を眺めていて、本音では戦争に突入することのデメリットを認識していると思われますし、米国もウクライナ問題の渦中に、さらに台湾問題となると支援するにしても膨大な費用が重なるのは明らかで、自国経済がインフレに疲弊しつつある現状で、軍事衝突だけは避けたいと言うのが本音だと思います。そのような両国の思惑が一致して、戦争を避けたい共通認識の醸成を図りたいと言う狙いが読み取れました。バイデン大統領はワンチャイナ政策の維持を表明しましたし、中国も台湾問題をレッドラインと明言したことで、戦争回避の共通認識が明確化されたと思います。もちろん、具体的な進展は簡単には示せないとは思いますが、この両国の思いが次の話し合いにつながるであろうことで、非常に意義深かったと思います。
これまでも私が主張して来たことは、指導者たるべきものは、戦争を避けるように、対話を重ねるあらゆる努力をしないといけないと言うことでしたが、今回の両国の態度にそのことが見られ少しホッとしています。ウクライナの二の舞となれば、本当に世界大戦に突入する道に突き進むことになってしまい、世界の多くの人達が生活や命を奪われ、個人の努力では幸せな生活を送れなくなる理不尽が横行する世界となってしまうからです。私の幸福論の第一優先は平和な世界を維持することです。戦時下ではどのように動いても人間性を維持することは難しく、人権など守りようがありません。ウクライナの状況で多くのひともそのことを強く理解されたと思います。過去のどの戦争でも人類が経験して来た地獄が再現されるからです。
我々日本人もそのことを充分認識して、政府を監視していかなければなりません。確かに、防衛力強化は、北朝鮮のようにまともな対話が出来ないような異常な国家が近隣に存在することを考えますと、ある程度は避けられないとは思いますが、なるたけ合目的に備えることに留め、過去のような軍事大国に戻るような愚行を許してはいけません。まずは、政府は最後まで相手のことも考慮しながら、話し合いで妥結する道を諦めてはいけないと思います。