日本銀行がこれまでの金融緩和政策を一部修正し、長期金利が上昇しています。それに伴い住宅ローンの金利引き上げの動きが出て来て、我々の生活にも影響しつつあります。また、為替や株式市場も即座に反応していて、いろいろな影響が生まれて行くと思われます。
現代の経済システムは、複雑で、特に、金利、為替、株価、先物取引価格などのような変動要素が、複雑な動きを示すことで、非常に不透明なものとなっています。
もともとの経済とは、人間が生活に必要な物の物々交換から始まり、貨幣が生まれ、その価値基準を定めたり、異なる貨幣間の流通の為、各貨幣の交換レートが定められ、その後、資本主義が起こり、会社組織の資金調達の為の株、社債などが生まれ、石油や穀物など重要な物の将来の価格変動へのリスクヘッジに先物取引が出て来たりと次々と複雑になって来ました。さらに、このような複雑な要素から利ザヤを稼ぐ投機的なビジネスも増えて来ました。本来は人間が生活を営む上で、便利なように作られたそれらのシステムが、どんどん投機的な意味合いが大きくなり、本来の意味から逸脱して来たのでした。その為、人間の営みをやり易くするのが本来の目的でしたが、逆に大きなリスク因子となってしまったのです。
私は我々の日常生活に、これらの影響を受けること、衣食住など必須の生産活動を、直接的な意味合いも無く、混乱させるのに反対です。ここまで複雑になったのは、複雑になればなるほど、うまく立ち回れば、甘い汁を吸うことが出来ることで、非生産的な活動、それで金を稼く職業、人が増えてしまったからです。
投資家がいるから、必要な所にお金が回るのだと言われますが、それは対象となる企業、技術の開発、発展の為であれば、もちろんそうなのですが、単なる利ザヤ稼ぎで、金を右から左に移すような投機的行為は、決して人の生活の為になる事業や技術を支えているとは言えません。本当に必要なのは、前者の行為なのです。このような本質的な考え方に基づき、国も税金の使い方を決めなければなりませんが、実際そのようになっているでしょうか。
我々の生活にとって、本当に必要なのは、我々の生活を豊かに、安心にするための事業や技術を創出し、それを発展させることですし、またそのことを担う人材を発掘し、育成することなのです。それにより、人類に幸福を生む土壌がもたらされるのです。決してマネーゲームに踊らされるような事を排除し、地道なこの道を進むことが重要なのです。それを良く理解した目の前の損得に右往左往しないリーダーや指導者が我々を引っ張って行けば、この世の災いの種のかなりの部分が無くなると思うのです。