私がこのブログで主張しています「新ハルモニア主義」の考え方に大きく影響を与えたものはもちろん色々あります。長年の人生で経験したことはもちろん重要ですが、ひとりの人間で経験できることには限りがあります。それを補足するのが、先人の遺した数々の知識、ノウハウ、思想、歴史などです。残念なことですが、それらの知識はほとんどが学校教育以外で得たものです。そういう意味でも、学校の教科の内容では幸せになる生き方についてほとんど触れられていないのが現実だと思います。

 このような観点で学校教育の内容を検討することなど、今の文部科学省や教育委員会の眼中には無いのでしょう。受験に関わる人達は、受験を中心にしか考えませんので、例えば、受験科目以外は疎かになっているのです。私は人間の生き様を考えて行くにあたり、歴史と生物をかなり参考にしています。それは、歴史は、人間がこれまでどのように生まれて、生きて、死んでいったかを示していて、人間がどのようなとき、どのように動くかがよく判ると思います。生物は、もともと人間も生物の一種ですので、それを学ぶことが人間の行動を理解する上で非常に役に立つからです。いずれにしても、教科書の内容では不十分でありますが、全く学ばないよりはましだと思います。それにも関わらず、受験科目でないからと、日本史、世界史、生物もほとんど学ぶことが無いひとも沢山いるのが現実です。

 生物についてですが、先日、NHKで「超進化」という番組が放映されていました。三部構成で、植物、昆虫、微生物をそれぞれテーマにしていました。興味のある方は、NHKのホームページから視聴してください。しばらくの間、見ることが出来るのではないでしょうか。

 植物の回で、印象に残ったことは、共生ということです。例えば、落葉樹は夏を中心に葉が茂り、旺盛に光合成をして、栄養素を多量に産出します。常緑樹は、落葉樹が枯れてしまう冬場でも光合成をします。夏場は大量に産出した栄養素を落葉樹から近くの常緑樹に土の中の根を通じて渡します。冬場は反対に、常緑樹からその時期に光合成しない落葉樹に栄養素を渡すことが分かっています。また、根から根の栄養素の移動や、土壌からの栄養素の吸収には、微生物がその働きを助けています。このように、森の中で、生物達が互いに助け合って生きています。人間の歴史は約500万年ですが、植物は約10億年の歴史があります。さらに微生物は約40億年前に生まれたと言われていて、微生物も植物も人間などよりも長く環境に対応して進化して来ているのです。そして、その形が共生となっているのが意味があると思っています。

 このような共生の形は、第二回の昆虫にも出て来ます。昆虫と植物、微生物との協力関係はよく知られている植物の受粉だけでなく、外敵から防御してもらう代わりに食物を与える関係もよく見受けられることなのです。そのような関係が多く成り立っています。

 微生物の回では、我々人間にまでにつながる動物の細胞レベルでの微生物の役割が示されていました。もっとも衝撃的には、我々の細胞の中でエネルギー産出の機能を持つミトコンドリアは元々微生物であったのが、別の微生物に取り込まれて、長い長い時間経過の中で、生物細胞として構成されていったことです。まだまだ病原菌など、人類に害する微生物もありますが、そのような敵対関係でも、生物学的にはいずれは人類の進化に役立つこともあるのです。

 確かに、植物とは違い、動物は競争関係で進化していることも多いのですが、植物の進化を考えますと、動物もいずれ同種間、異種間での共生が種の保存や進化の重要な策となっていくでしょう。さらに、人間社会を平和的に構築するための鍵となるのが、この共生だと思います。