半世紀前に経済学者フリードマンが提唱した株主中心の資本主義が米国経済を牽引しました。しかし、リーマンショックが起こり、この理論に大きな問題を抱えていることが叫ばれるようになりました。日本も米国式を後追いしていましたが、日本全体的な経済成長も進まず、結局は、株や富を持つものと持たざるものとの二極化が進行することにより、株主である富裕層と一般国民との格差が拡がるだけでした。
ここに来て、米国の財界トップが会社は株主だけではなく、社会全体に尽くすべきだと発言するようになり、株主資本主義の行き着くところは、貧困の拡大、環境の汚染、国際紛争の勃発と言った大きな社会不安を抱えた世界だと言うことに気が付いたようです。このことは、私が警鐘を鳴らしていますように、一部の特権階級、富裕層だけが富と権力を握ることで、一時的には彼らだけが贅沢な生活を享受できたとしても、いずれは世界的な紛争や環境問題で自分達にも火の粉がかかって来る状況に陥ることで、世界全体が不幸の暗闇に包まれるようになると言うことにビジネスエリート達が気が付いたのだと思います。このような動きに呼応して、経済学者の中には新しい資本主義に修正すべきだと主張する人も出ていますが、この問題は経済問題に留まらず、地球規模の様々な問題の原因となっていると思いますので、国際協調も含めた各国の政治問題として取り扱わないといけないと思います。
世界のすべての人達が人間として尊重され、ある程度豊かな生活を享受でき、自己実現可能な世界の礎となる長期的に安心で安全で豊かな世界を実現する唯一の方法は、利己的な資本主義では無く、利他主義をベースにした世界全体での協調と助け合いの社会だと思います。