警察庁は2020年から、全国で発生したすべての人身事故のデータの公開をスタートしています。朝日新聞社取材班が、2019~21年に発生した約100万件の人身事故のデータを分析した結果、小中高の学校の近辺の229ヶ所の道幅が5.5m未満の生活道路にある交差点で、三年連続で事故が起き、1140人がけがしたことが判明しました。
警察庁は生活道路の安全対策として、地域全体を時速30キロ制限などにする「ゾーン30」を指定したり、道幅を局所で狭くしたり、道路にハンプと言うデコボコを設けたりして、物理的に速度を出せないようにする「ゾーン30プラス」の導入を始めました。但し、今回の朝日新聞社の解析で危険とされた交差点の約9割は指定外となっています。これは、指定により、車両通行側の利便性が損なわれることや、今回明らかとなった危険交差点の多くが都道府県警が発表している「事故多発交差点マップ」にランクインしていない、つまり警察が認識していないことで、指定されていないかったかもしれません。このような報道に、警察庁が都道府県警に通知して、これまでランクインしていなかった交差点も対象に含むようにしたり、朝日新聞社が実施したような解析ツールを開発し、都道府県警に配布したようです。
朝日新聞社の試みが、警察を動かしたと言うことで報道機関の貢献も評価しなければなりませんが、もともと警察庁が人身事故のデータを保有していた訳ですので、それを如何に効果的に活用することを真剣に考えていれば、もっと早い対応が生まれていて、被害者を少しでも減少させられたのではないかと残念に思います。
以前のブログで取り扱いました、高齢運転手による悲惨な事故の連鎖が止まらない問題においても、政府、自治体、官公庁の対応があまりに悠長で、その間に、被害者が増加するといった悲劇が続いています。
どちらの場合も、何の罪も無い子供や弱者が犠牲になっているのに、効果的で、迅速な対策を講じられない政治家や官僚は、アイディアも実行力も乏しい上に、社会全体の知恵で浮かび上がった効果的な方策を強行する為のリスクも負わない、自分の保身を優先するような人間が多いのだと憤りを隠せません。
政治家や官僚、あなた達が手をこまねいている間に、また次の犠牲者が出てしまうのです。その命の重みを本当に理解していますか。