トルコ、シリアを襲った大地震は五万人を超える犠牲者を出しています。トルコ南部の犠牲者が多かったのですが、別の問題でシリア北部の被災地は悲惨な状況となっているようです。
シリアでは2011年、民主化運動アラブの春の波が押し寄せ、アサド政権への抗議デモが起こり、政権からの弾圧の末、反体制派とアサド政権の武力衝突に至り、ロシア等の支援を受けたアサド政権に反体制派はシリア北西部に追いやられて内戦状態が続いています。
大地震がこの反体制派の地域を直撃したのですが、被災後も政府の救助や支援を受けられないという問題が起きました。国連は支援活動を実行しようとしてはいますが、各国はアサド政権との調整を経てから救援、支援活動を実行しようとした為、地震後間もなくの一番重要な時間帯に活動出来ないことになりまして、トルコとは違い、瓦礫からの救出活動もほとんどままならない状況に陥り、多くの人達が瓦礫の下で亡くなったのでした。
今、ウクライナでの戦禍に世界は注目していますが、その近くのシリアでも内戦状態が続いているのです。内戦、つまり戦禍の下で厳しい生活を強いられて来た市民に追い打ちをかけるように大地震が起こりました。地震発生後、日本も含め各国の救援部隊が瓦礫の下の被災者の救助に奮闘したニュースはトルコの都市でだけだったのです。
以前のブログで、今回の地震が起きたときに、多くの国が救援隊を派遣し、支援活動を進めていたことに、困ったときは国境を越えて人道支援が為されることに感動したと申したのですが、現実はこのような非情な状況があったのですね。
戦争というものは、客観的な正当性が無く、そもそも正当性を論じて話し合うことを放棄した(多分、論戦では負けるから)、無茶な言いがかりが全てなのです。そして、力づくで誤魔化して、相手を屈服させようとするのです。このような事態に巻き込まれた一般市民ほど悲劇なものはありません。大地震のような大災害のときにはその悲惨さが倍増するのです。
本当に一般国民の為に政治をするというのなら、戦争などするわけはないのです。いつも言いますように、戦争は権力者の正当性の無い野望の為に行われるのです。このことを絶対忘れてはいけません。