国土交通省の元事務次官が国交省が事業の許認可権限を持っている民間企業の会長、社長に対して、国交省OBで現在この民間企業の副社長を社長にするように求めていたことが判明しました。元事務次官は有力な国交省OBの意向ともちらつかせ、要求に応じれば便宜を与えるようなニュアンスの話もほのめかしたようです。
時代劇でよく見るのは、役人が強力な権限を背景に、料亭の個室で商人などから金を受け取る場面が思い浮かびます。現在でも、官僚機構は民間企業に対していろいろな許認可権などを保有しているので、犯罪ではありますが、見えない所で意図的に民間企業を脅したり、強請ったりすることは可能です。民間企業の方も、便宜を図ってもらえる可能性があることで、関係省庁から天下りを受けることが続いていました。これらが社会的に問題になって来て、役人の天下りについては一定の制限が設けられて来ましたが抜け道が多く、今回のように官僚OBが民間企業の役員として在籍しているのは珍しくはないのです。
世界的に見ますと、役人が袖の下(賄賂)を受けとることが日常化している国もまだまだ多数あると言われています。日本では、大っぴらにそのような行為は出来ませんが、判らないようにやろうとする役人が後を絶ちません。政府や自治体の役人は、強力な権限を正当に国民、市民の為に活用するのが本来ですが、特定の民間に対して、人事を押し付けたり、便宜を図る替わりに金品を得ると言った、自分自身の為に使用してしまう行為が未だにまかり通っているのです。大部分の役人はWEタイプの人達だと思いますが、自分を厳しく律していなければ、ついつい道を外してしまうのでしょう。特に、今回のケースのように、口頭なので後でバレても、自分の意図したことではないと言い逃れ出来るような逃げ道を用意しているのが常套手段だと思います。
政治家も役人も公僕と言われていますが、本当に民のしもべとして使えることなどは口先だけで、自分の欲望達成の為に政治家、役人になっている人がどれだけ存在するのでしょうか。そして、またそのような彼ら自身でルールを作るのですから、このような行為を完全に無くすことにはならないのです。この悪循環を断たなければ、この問題はまだまだ続くと思います。