現在の制度では、扶養家族としての妻が非正規社員として働く場合、一定の年収を超えると社会保険に加入する必要が生じ、健康保険、年金などの社会保険料を納付しなくてはなりません。その為、限度額の年収以上は働かないと言う就業調整をしている人が多数存在することが問題になっています。もともと、扶養家族を持つ家庭ではひとり暮らしの家庭に対して、社会保険の負担が多過ぎないように考えられた制度だと思います。基本的に、ほとんどの人が結婚して、家庭を持つことが前提として考えられていたのだと思います。しかし、近年、結婚することだけが幸せではないと考えるような人も多く出て来るように、ライフスタイルは多様化して来ました。そのひとつの結果として少子化問題が起きて来たのです。本来、自分の人生は自分で決めることが重要で、幸せの物差しは人それぞれに異なって良いと私は思っています。以前のブログで少子化について論じた中にも述べて来ましたが、少子化の大きな問題は、国の成長、発展が損なわれると言うのは詭弁であり、年金や健康保険と言った制度が急激な就業人口の減少によってバランスが崩れ破綻する可能性があることだけが問題だと指摘していました。権力者、資本家の一般民衆からの富、労働の搾取分の減少を許容すれば、就業人口が漸減していく分には、きちんとした政策を施せば国は成り立っていくと考えているのです。
税制にしても、社会保険制度にしても、複雑過ぎて、いろいろな矛盾を含んでいます。これは一般民衆から金を徴収し、その中に民衆の為ではなく一部の特権階級を優遇するように仕組まれたカラクリを分かり難くしている為です。一方、資本主義制度とは、資本家が従業員や消費者から富を集める仕組みなのです。このような現実にスポットをあてて、税制、社会保険制度、経済制度を見直せば、つまり多数の民衆が生み出した富をバランス良く活用すれば、ほとんどの問題は解決するのです。富の偏在を是正すると言う視点が必要で、大企業、富裕層の税負担、社会保険料の負担を増やすことで、きちんと財源は確保出来、年金も健康保険もうまく回っていけるのです。
富裕層は頑張って働いたのだから、多くの富を得るのは当然であり、今でもある程度庶民より多くの税負担、社会保険料の負担をしているから何が悪いのかと主張するでしょう。しかし、今のままだと貧富の格差は拡がるばかりで、それが民衆に貧困が拡がり、治安が悪くなり、富を奪い合う争いが生じ、ひいては戦争に発展し、結局、貧富に関わり無く悲惨な世界が訪れてしまうのです。ある程度は努力の対価で得られる富が変化するのは仕方が無いと思いますが、世界秩序の崩壊につながるような格差は、今の内に是正すべきだと思うのです。