連日、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染者増加が止まりません。昨年のデルタ株による第5波の感染者数、増加スピードをはるかに超えて進んでいます。オミクロン株の感染力が非常に高まっているのが主因であると思われます。我々は、この2年間で、ここまで行動しても多分感染しないであろうという様な感覚が出来つつあったように思いますが、どうもそのような行動基準では、今回のオミクロン株には通用しないのではないかと思います。しかし、政府なり、自治体なりは出来るならばこれ以上経済活動を止めることは避けたいと考えていますし、もし止めたとしたときの補償金も底をつきつつあり、いずれにせよ、思い切った規制は出来ないのが現状であると思います。一方、オミクロン株感染による症状は、デルタ株より軽いという傾向もほぼ確認されつつあり、感染力は強いが重症化リスクが低いという特性をなんとか利用した対策で経済を回したいと考えているのでしょう。しかし、具体的な対策は明確ではなく、様々な意見が飛び交っている状態となっているのが、いろいろな局面で混乱を導いています。
混乱を防ぐためには、明確な基本方針の上に整合した具体的対策を示すのが重要であると思います。それなのに、現状は、政府が抽象的な(いろいろな解釈が成り立つ)基本方針を示し、具体的な対策は各自治体に任せるというやり方をしています。そこに混乱の原因があると思います。
基本方針には、何を一番優先するのか、その為に、何を犠牲にするのか、その犠牲を軽減するために何をするのかということが、具体的に示されるべきです。その前提として、どこまで科学的な根拠があるのか、判っていない点はどこなのか、リスクは何かということも明示しなければなりません。そのような内容が完結にまとめられていれば、それを実行する自治体や国民の理解も得られ易いはずですし、自治体が自分勝手な解釈を前提にした方策を出す余地も少なくなるはずです。
何故そのような効果的な手を打ち出せないのでしょうか。もちろん、オミクロン株の全容が明らかになっていないということもありますが、もともと非常時の判断には、不明確な点も判った上で、決断するという高度な政治的判断が求められるのが普通です。出来ないのは、後日、結果が明らかになったとき、ミスがあればそれも明らかになり、誰かが責任を取らされるからです。曖昧にしていれば、どこで失敗したか、誰が悪かったのか、うやむやに出来るからです。ひとことで言うと、関わっている人達、つまり案を作る官僚、判断する政治家が自身の保身から抜け出せないからなのです。
そうでは無く、国民のためにすべてを捧げると選挙のときに叫んでおられた通りに、この難局でこそやりますという政治家がおられるならば、その意気を見せてください。そのような政治家が出て来ると、国民も誰を信じたらよいか、官僚も誰についていったらよいかがわかるはずです。やはり、コロナは悲惨ですが、政治家の本性を映し出す鏡なのです。せっかくの国民を救うチャンスなのに、やはり自己保身を考えている政治家ばかりだったというような悲しい現実を出来れば突きつけないでくださいと願うばかりです。