台湾を中国の固有の領地として吸収を狙う中国の動きが気になります。地政学上、沖縄とも近接していることもあり、日本として、じっと静観していることは出来ない状況でもあり、台湾有事への懸念が大きな問題となっています。
歴史的には、オランダ、清、日本が統治して来ましたが、日本の敗北後、中国本土から国民党が渡って来て現地人を含めて台湾全土を統治しました。その後、紆余曲折があり、1980年代の民主化によって、台湾人と言う一体感が醸成されて来て、今日の姿があります。民主主義が定着して来たことで、欧米諸国との関係が深くなっていることに、中国の危機感が増大しているのでしょう。
日本は50年前に日中国交正常化を実現したときから、台湾とは公式には断行しているのですが、台湾の民主化、経済発展による影響力強化で、台湾とも非常に近い関係となっていて、非常に複雑な関係にあると思います。その間、中国とも経済的な結びつきが増大して行く一方、中国の世界的な覇権行動や、特に尖閣諸島の領地問題で、中国を全面的に支持する立場にはなれない関係になっています。
こういう微妙な構図の中で、台湾有事が起こったならば、日本の立場をどうするのか重要な政治的課題となっていると思います。
政治思想的には、民主主義を信奉する日本としては中国の共産党一党独裁政治より民主主義国家としての台湾を支持すべきですし、香港が中国に返還されて、さらにもし台湾も共産党の支配下になり、東アジアの政治バランスが大きく傾くことは避けたいと考えているでしょう。と言って、鮮明に中国に敵対すると、悲惨な全面戦争に突入するリスクが現実のものになることもあるので、なかなか態度を鮮明にすることが出来ないと思います。
いつも述べていますように、絶対に戦争は避けなければなりません。その為には、八方美人的な外交戦略も止む無きかもしれません。中国が日本を攻撃する明確な理由を与えてはいけないのです。
言いたいことは、外交とは高度なネゴシェーション技術を要するものなのです。いろいろな国が様々な考えを持っています。中国、台湾を取り巻く多くの国々はそれぞれの思惑を持っています。その複雑な状況を把握して、いろいろな国を巻き込んで、どのような立ち回りをしたらいいのか、必死に考え尽くさないといけないのです。それこそ、外務省の細分化された専門家だけに委ねるだけでは不充分です。政治の世界が果たすべき最大の役割なのです。
日本共産党などが主張している戦争放棄、外交で解決はその通りなのですが、抽象的なスローガンで終わっていては何も実現しません。と言って、岸田政権の軍拡方策も前回のブログに書きましたように税金の無駄遣いに終わる可能性が高いと思いますので、官僚だけに留まらず全日本の叡智を結集して、実利的にアイディアを創造できる頭脳集団と、それを具現化する為に立ち回れるネゴシェーター集団を結成すべきだと思います。日本のトップがそれくらいの知恵と実行力があることを願いたいと思います。