G7サミットが広島で開催されています。初日に、各国首脳は、平和記念公園内の原爆資料館を見学し、慰霊碑に献花をする姿が映し出されました。彼らがどのような思いを持ってこの場所に立たれているのか非常に興味があります。
核兵器と言うとてつもない破壊力を持った爆弾が投下され、一瞬で広島中心部を瓦礫と化し、非常に多くの死傷者を出したこと、さらにその後も飛散した放射能で、人間だけではなく、多くの生物、自然環境にも多大な二次被害をもたらした惨劇を想像するだけでも、ほとんどの人間は悲しみにくれてしまうと思います。多分、各国首脳も同じような気持ちに沈まれたのではないかと推察しますが、そうだからと言って、現実は、ロシアはウクライナで核兵器を使用すると何度も脅迫めいた警告を出していますし、北朝鮮は核兵器の開発を加速させ、中国も保有する核兵器数を積極的に増加させています。
このような人間の普通の感情を嘲笑うかのようなことが、曲がりなりにも国家のリーダー達が実行していることに非常な悲しみを感じます。一方、G7に参加している国も核兵器を保有している国が多く、悪魔の兵器を憎む感情と矛盾した立場に立たざるを得ないのが現実なのでしょう。これが人類の最大の危機を生んでいる不条理な現実なのです。
核兵器廃絶が人類にとって非常に正しいことではあっても、一方的に破棄しては、核兵器の保有するロシア、中国、イラン、北朝鮮などに軍事的に世界を支配されてしまうかもしれないので、それは出来ないのです。
この人類のジレンマこそ、未来の地球を脅かす源なのです。なんとか、核兵器で地球滅亡へのシナリオを書き換えようと、いろいろと策が施されて来ました。それが、核兵器を保有する国を増やさない核兵器不拡散条約であり、保有国は核兵器を徐々に減らして行くと言う核兵器削減条約なのです。残念ながら、これらは破棄されたり、守られずに今日まで進んでしまいました。
大国であるロシアが、人類を破滅に導くかもしれない核兵器の使用を少しも悪びれずに言及するような時代になってしまったのです。本当に賢明な人間であれば、もし核兵器を使用すればどのようなことが起きるか理解出来ていると思いますので、ロシアの態度はただの脅しであると信じたいと思います。しかし、最悪のシナリオはプーチン大統領が、自身の権力を失うような事態に自暴自棄になり、全人類を破滅に巻き込もうとすることです。藁をもつかむような気持で、プーチン大統領の良心に期待するしかありません。多くの国民の命を任されている一国のリーダーであるのですから。