長野県で起こった猟銃と刃物を使った連続四人殺人事件の犯人像が徐々に明らかになって来ました。大学時代に人とのコミュニケーションに苦労し、大学を中退し、実家に戻ってからは、人付き合いも少なく、家業を手伝っていたようです。父親は地元の名士で市議会議長と言う恵まれた家庭と言えなくもないのですが、そこに落とし穴があります。

 私が思うのは、人間が人に危害を加えたりするのは、もちろん複雑な要因が折り重なって起こるのだと思いますが、その中でも重要なのは幼少期、少年期にどれだけ愛情を感じて生きてきたかということが大きく関わっているのだと思います。人に優しくされると人にも優しくなれるのです。裕福かどうかは、それほど大きな要因ではないと思います。逆に、お金持ちで、好きな物をいくらでも与えられていたとしても、大人になったときに心が満たされている訳ではありません。

 愛情をそそぐとは、その子供に正面から向き合い、対等なコミュニケーションを交わした上で、人間としての善悪を教えていくことだと思います。厳しい指導はあっても、それを打ち消すような優しさ、包容も必要です。

 学校の成績だけで褒めたり叱ったりすること、他人と比べること、子供自身の思いを簡単に否定することなど、子供の気持ちを砕くことはいくらでもあります。逆に、子供の思いを認め、子供のやりたい事を尊重しつつ、子供では理解出来ていないことをきちんと指し示して道を説くことに時間をかけて進めていくことが重要なのです。

 子供を作ることはある意味簡単ですが、そのように愛情深く育てて行くことは非常に大変な事なのです。しかし、そこを怠ると、中には歪んだ気持ちを持って大人になってしまう人も生まれてしまうのだと思います。少子化問題で、政府は子供の数を増やすことだけに囚われているようですが、本当に必要なのは、子供をどのように人間的に豊かに育てていくことだと思います。

 私が言いたいのは、代々受け継がれていくべき子育て、教育を誤ると、負の連鎖で、幸せになり難い人、人の痛みが判らない人が次々生まれ、その為に他の人も悲劇に巻き込まれてしまうと言うことです。生きるのも大変な世の中と言われていますが、愛情が溢れた家こそが、子供を救っていくのだと思います。

投稿者

弱虫語り部

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