前回のブログで、一部の大企業が記録的な利益をあげているのに、日本全体では広範囲のエネルギー、製品等の値上がりで庶民の暮らしが圧迫されていると言う捻じれた構図について述べました。もちろん、私企業は利益を追求するのが大きな目的であるので、それを非難することは出来ません。非難すべきは、私的な活動ではままならない問題を放置している政権、政治家だと述べて来ました。
一般の私的な活動は、それぞれが生き残り、成長することを目指しています。しかし、それらの動きに何のコントロールも加えないでいると、地球はどんどん滅亡へと進んで行くのです。これまでも、富を独占し多くの貧困層を生んで来ただけで無く、環境汚染を起こしたり、地球温暖化を進めて来たり、私企業の活動を放置していくことで、地球に住む人類、生物全体へ大きな悪影響を及ぼす状況が数々起こって来ています。
例えば、感染症や病気の治療薬の開発では、世界の製薬会社はビジネスとして大きな利益を望める癌、認知症、高血圧、新型コロナウィルスなどの治療薬、ワクチンの開発には、大きな研究開発投資をして来ました。莫大な利益が見込まれる、富裕層が多い先進諸国、大国で望まれる薬の開発に注力して来たのです。しかし、世界全体を見ますと、非先進国では、結核、マラリア、エイズなどが蔓延して、貧困層で多くの死者が出ている現実があります。今後、地球温暖化が進むと、蚊の生息地域が拡がり、衛生的に充分な環境の整備が出来ていない地域で、貧困層にマラリアが蔓延することが予想されます。
私企業にとって、貧困層はビジネスの対象としたくないのです。だから、政治と言うものが非常に重要なのです。法律や政策で、ビジネスでは陽の当たらない部分に支援の光を照らさないといけないのです。移動手段、通信手段が更に発達して行きますと、地球の体感的な距離が益々縮まって行き、国境と言う壁で、病原体や汚染物質を防御できなくなります。つまり、先進国としても、非先進国の惨状の拡大から逃れられなくなるのは必然となります。
先進国、豊かな国は、このような地球規模の視点を持ち、地球全体の共生を目指した方策を講じて行かなければならないのです。言い換えますと、これまで蓄積して来た富や技術を地球全体の為に活用することが必要なのです。独裁者は愛国心を叫びますが、本当に自分の国や国民を愛しているのなら、自国だけいい目を見ようとする愛国心など時代遅れの産物なのだと気付かなければなりません。ましてや、自分とその周りの特権階級、富裕層などだけいい目をみようとするなど、単なる自分の首を絞める行為でしか無いのです。