フランスで、17歳の少年が警察官に射殺された事件を契機に、各地で暴動が続いています。フランス社会における若い移民系市民の不満が爆発したと考えられていますが、放火や略奪という行為を正当化できるものではありません。

 世界的な貧富の格差問題が根本にあり、私は少しでもこの問題を是正することが、世界平和、治安に強く結びつくことを主張して来ました。富裕層は今回の暴動を見て、そのことをしっかり認識すべきだと思います。自分達だけ豊かに暮らしていけばいいのだと言う狭い利己主義では、社会はどんどん荒んでいくばかりなのです。


 日本でも同じような境遇に喘ぐ若者が増えて行っていますが、暴動のような過激な行動に走る者は幸いなことにまだ出ていません。しかし、闇バイトの犯罪に手を染める若者が絶えないことを見ていますと、日本でも今後もっと過激な行動に走る若者が出ないとは言えないかもしれません。そうなると、罪の無い市民がさらに多く被害を被ることになってしまいますし、富裕層だからと言って無関係で済むということはありません。

 これを食い止めるのは政治の力が一番重要なのです。政治は国民ひとりひとりでは解決出来ないような問題、社会の中の弱者を救済することが急務なのです。平等と言う旗印に、必要もない富裕層にも援助するような無駄なことは即刻止めて、食べて行くことに四苦八苦な層に手を差し伸べ、そのような人達を減らすような改革をしていくべきなのです。完全に平等にしろと言ってはいません。しかし、今のようなあまりに大きい格差が存在しては、さらに多くの弱者を産んでいき、行き着く所は暴動から、暴力で支配された革命みたいなことになるのです。

 今回のフランスの暴動で、重要な点がもうひとつあります。それは、国民、市民の民度をキープしたり、上げたりすることが求められると言うことです。今回のような社会的に糾弾すべき事件が起きたときに、それを訴える声が上がります。そのこと自体は当然必要なことなのですが、それではどのように行動すべきか、分別のあるものが指揮すれば、非暴力のデモと言う形になると思いますし、それが多くの民衆の動きになれば、政権に対して大きな力となります。しかし、指揮者がこれはいい機会だと、街で暴れ回り、鬱憤の捌け口にしようと考えて扇動してしまうと、今回のケースのように暴動が拡がってしまうのです。一部のDEタイプの人間は破壊的な行動を面白がって実行したいと考えていますが、平穏な状況では、暴動しようと言ってもほとんど賛同者はありません。しかし、政府や警察のような国家権力の明らかにやり過ぎの事件があれば、それを大義名分にして、不満を抱えているWEタイプの層を扇動出来てしまうのです。破壊からは何も生まれないし、無駄な損害を拡げるだけになり、それで一層、権力側が国民、市民への圧力を強めることにつながり、一般民衆には何の為にもならないのです。

 我々国民の多くを占めるWEタイプは、このことをしっかり認識し、破壊で、鬱憤を晴らすこと、どさくさに紛れて金品を盗むことなどはいっときの満足にしかならないことに気が付かないといけないのです。後に来る自分達の悲劇の方が非常に大きいのです。

 よく考えない、あまり知識の無いWEタイプは扇動に乗り易いのです。そこで、教育ということが大切なのです。暗記中心の受験勉強などより、社会の仕組み、実状をこれまで人類が経験した歴史も含め、しっかり学ぶことの方がよほど大切なのです。きちんとした、正しい知識があれば、弱いWEタイプのものでも、自分を幸せにする行動を身につけることが出来ると思います。受験勉強の落ちこぼれを作っている教育も改革しないといけないのです。