北海道で猟奇的とも思える事件がありました。29歳の女性とその両親が逮捕されました。父親は病院の精神科の科長として勤務しており、命を助ける立場の人間でした。

 どうしてこのような事件が起きたのかは、これからの警察の取り調べを待たなければなりませんが、娘の生い立ちに何かヒントがあるような気がします。小さい時から不登校だったと言う話もあり、今も仕事に就いていないようでもあります。そのような娘の境遇の中で起きた家族の関わりに端を発した事件だと思います。それだから、娘の両親が関与していると言う不可解な事態になったのだと推察出来るような気がします。

 父親は精神科の医師であるのに、本来は人の心の病を治療する立場の人間であるのに、このような悲惨な事件に関与したと言うことに、人間の複雑さを感じずにはおられません。

 人間は好き好んで問題の中に突き進むことはありませんが、思わぬ状況の流れによっては、段々と抜け出せない沼に足を入れて行くことがあります。今回のケースも一家の中の娘の問題から、いろいろな展開があって、それに根本的な対応を打たないまま、長い年月が過ぎる間に抜け出せないような状況が出来上がってしまったと予想されます。

 分かり易い例を示しますと、ギャンブルや株、先物取引のようなものにハマり、簡単に返済出来ないような借金を作る人が少なからず存在します。最初は少し利益が得られ、それに味をしめて、少しづつ規模を拡大し、負けがこんで来ますと、それを取り返そうとさらにお金を注ぎ込み、結局、自分自身では返却出来ない程の借金を抱えることになって、袋小路を抜け出せないことになってしまいます。そのような状況になり、返済を迫られると、常軌を逸して、犯罪に手を染めてしまうことになってしまいます。最近では、闇バイトに手を出すケースもあります。

 どのようなケースも、突然そのような地獄に陥るのではありません。結構な時間がかかってなるものなのです。その間に、自分自身の手で何とか返済出来る段階で、ギャンブルなどを止めることが出来れば、このような悲惨な結果を生むことはありません。しかし、その段階で止めると、自分がそれまで貯めた貯蓄を無くすことになってしまうので、そこで止めるより、取り返そうとする判断をしてしまうのです。

 この判断が大きな誤りなのです。ギャンブルなどで身を滅ぼさない為には、借金をしない程度、つまり自分の自由になるお金の範囲での負けの段階で止めることが唯一の解決方法だと認識しないといけません。

 人は失敗したり、踏み込んだりしたりしてはいけない所に足を入れることは誰にでもあることです。そのとき、そのまずい状況を直視し、非を認めることが必要です。それが出来れば、これ以上、その道を進むことでどれだけ悲惨な未来が待っているかと言うことからも目を逸らさないでおくのです。そうすれば、それまでに失ったものは勉強代として諦め、ここで、立ち止まり、潔くその道から引き返すのです。

 悲惨な結末を迎える前に、必ず、そのようなターニングポイントを通過するのです。そのときに、止めたり、異なる道に進路を変えると言う判断が出来るように、自分の人生を真剣に直視してください。辛い判断から目を背け、短期的には楽な道を選んだり、なりゆきに身を任せていては、どんどん底なし沼にはまっていくのです。

投稿者

弱虫語り部

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