ビックモーターの不正関連のニュースに色々と触れていますと、つくづく資本主義の不完全さを痛感します。
ビッグモーターの元従業員、現役従業員の告発を見ていますと、まさしく、この会社は従業員に利益をあげさせる為には、とことん身を犠牲にして働けと、あれこれ品を変え圧力をかけ続けていることが判ります。創業者の子供である前副社長が実質の経営執行を担っていたようです。また、彼自身が前線を視察し、その場で、意に沿わないものには降格人事を即断していたとのことです。そのような恐怖統治を助長していたのは彼を取り巻く役員、幹部だとも思われます。彼らは世間の標準から比べると、かなりの高給を得ていて、前副社長の指示を忠実に守り、従業員へパワハラまがいの指示命令をしていたと思われます。
独裁統治に見られる典型的な構図です。創業者一族は、莫大な富を会社全体の利益から得ていて、また一部の幹部に高給を与えて、その地位を保持する為にと、従業員を働かせるだけ働かして、得られた労働の産物である企業利益を従業員から搾取させて来たのです。
株主である資本家は会社設立、運営に資金を提供します。ビックモーターの場合は創業者である前社長が自身で資金を提供し、つまり株を保有し、資本家自ら経営執行を担っていました。オーナー社長と言われているものです。その投資した資本をもとに得られる利益は資本家に還元されます。オーナー社長の場合は、株主は自分自身ですので、得られた利益の配分も株主分、社長分の両面から得られるので、かなりの割合で利益の配当を受けられる訳です。だから、報道されているように自宅、別荘、車、クルーザーなど莫大な財産を形成出来ています。また上手いのは、取り巻きの会社幹部へも高給を与えることで、命令に従うようにさせています。前副社長、幹部達は自分達の多大な報酬を確保する為に、従業員を徹底的に働かせ、彼らの活動で得られた富を出来るだけ多く搾取するのです。
創業者や幹部が法外な報酬を得て、贅沢な暮らしをする為に、多くの従業員が、長時間労働を強いられ、不正を実行するまでに追い込まれ、精神疾患を患い、クビになり、人生を消耗させられているのです。彼らの報酬をそこまで、求めなければ、従業員全体が、健全な会社生活を送れるようになるのです。
独裁国家でも同じような構図があり、独裁者とその取り巻きのイエスマン達が、国民から搾取した富で、国民と比較して明らかに考えられないような豪勢な生活をしています。もちろん、このケースは資本主義をベースにした自由主義経済とは言えないケースで、権力者が経済活動も統治して、富が自分達に集めることは容易なのです。言いたいことは、真っ当な資本主義社会であっても、独裁国家と同じような社会の富の偏りがあると言うことなのです。
以前、封建社会のことをお話したと思いますが、この現代になっても、ほとんどその構図が変わっていません。つまり、資本主義でも、結局、その仕組みを上手く活用して、多くの民衆から富を搾取することが可能なのです。だからこそ、私が主張するのは、このような資本主義自由経済は、多くの人達を幸福にすると言う点において、まだまだ不完全なものだと認識すべきなのです。もちろん、独裁者や権力者が経済をコントロール出来ると言うのは論外ですが、国民から選択された政権が、富の偏りを是正する為の政策を打つことは必要であると思うのです。