全国平均の最低賃金が昨年度より41円引き上げられ1,002円/時間になる方向となったそうです。賃金が少しでも上がることは悪いことではありませんが、物価上昇を考えると、どれくらい底辺の労働者の暮らしを良く出来るのでしょうか。
最低賃金に近い報酬で生活せざるを得ない多くの非正規社員がいます。学生のアルバイトや主婦のパートもおられますが、若者で、正社員に成れずに、低い賃金の日雇い、派遣社員などで生活している人もかなりの数がおられるようです。これらの人達は、家庭を持ち、子供を作るような余裕は無いのです。異次元の少子化対策として、子育て支援策を打ち出している岸田政権ですが、結婚も出来ないこれらの層への対策が、この程度の最低賃金引上げでいいと思っているのでしょうか。
一方、日本のこのような低賃金により、飲食店をはじめいろいろなサービスが低価格で提供出来ているので、それらの事業主にとっては、最低賃金引上げは死活問題になるかもしれません。
今の日本の構図は、低賃金層が多数存在するので、彼らのような一般庶民を対象にした生活に直結する衣食住に関わる費用は抑えざるを得ません。それで、外食など安い賃金をベースに低価格の飲食などのサービスが提供されなければならないのです。つまり、価格を上げれば、賃金を上げられるが、それでも多くは一般庶民に受け入れられないと言う、両すくみの関係が成り立っているのです。
このような構図の下では、少々賃金が上がっても、物価の上昇に消えていくだけで、実質的に生活がよくなるとは言えません。この状況を打破するには、思い切った発想の転換が必要です。それは思い切った富の移転なのではないでしょうか。
最低賃金に喘いでいる低所得層が増えている反面、贅沢な暮らしを満喫している富裕層も増えています。また、日本の企業を見ますと、日々の資金繰りにも困っている中小企業が多く存在している反面、大企業は多大な内部留保を抱えているのです。これらを完全に平準化しろと言っている訳ではありません。行き過ぎた富の偏りを是正するような政策を打てばいいのです。そうして、日本の多くの層で、ある程度余裕のある生活を送れるようになれば、犯罪も大幅に減少するでしょう。富裕層は自分達の富を少し減らされると思いますが、日本全体の治安も良くなると言う、本質的なメリットがあることを認識し、是非、積極的に協力してください。