福島第一原発の処理水海洋放出が開始されて、中国政府は日本への政治的な攻撃材料として、公式に非難を繰り返し、日本産水産物の禁輸を続けています。

 このような中国政府の姿勢に従い、多くの中国国民も日本への反発を強めています。ネット上でも日本への抗議の投稿が溢れています。但し、一部の中国人は、放出水は基準値以下のトリチウム濃度に希釈されて放出されているので問題無いなどとSNSで投稿する人もいるのですが、そのような投稿は、中国政府の検閲の結果、すぐに削除されているようです。また、原発稼働国である中国も大量のトリチウム含有水を海洋放出している事実は中国内部へは公表されていないようです。

 中国政府は今回の海洋放出を日本をおとしめる格好の材料とする戦術を展開し、それを効果的にする為に、自分達の勝手な言い分を守るような情報は発信し、都合の悪い情報は公表しないと言う情報統制を続けているのです。

 歴史的に見ましても、多くの国、政権は情報統制を実施し、国民の感情をコントロールして自分達の考え方や行動を正当化して来ています。戦前の日本もまさしく同様な事をしていました。現代でも、中国以外に、ロシア、北朝鮮、ミャンマー、アフガニスタン、イランなどなど数え上げたらきりがありません。そして、恐ろしいことには、そのような情報統制を実施した政権は、無謀な行動に走っていることです。

 今回の中国においては、日本の東京電力や自治体、事業者に数多くの抗議電話、無言電話をした人達が多数存在しています。政府の発信を信じて義憤に駆られて電話した人もいたと思いますが、面白がってからかい半分に電話した人もいたようです。まるで、政府に抗議する為に始まったデモが、街頭の車や施設を破壊し、商店などに侵入し、商品を略奪するような暴動に発展したケースに似ています。

 今の日本は、まだ世界中から情報を入手出来ます。私達は、この情報の環境を守るように行動しなければなりません。そして、ひとりひとり、政府の発信することを鵜呑みにせず、幅広く情報を入手し、それらから、冷静に、なるべく客観的に正しそうなことを導き出せる目を養わなければなりません。