ジャニーズ事務所ジャニー喜多川前社長の性加害問題について、外部専門家による再発防止特別チームの提言が発表されました。
かなり踏み込んだ提言であったと評価出来ると思います。その中で、特に私が気になったのは、今回の原因のひとつとして挙げられていたマスメディアの沈黙です。50年間の間に、ジャニー氏を告発した人がいたのですが、マスメディアが本腰を入れて取り上げて来なかったと思います。
特に非常に残念なのは、ジャニーズ事務所創設初期のメンバーであったフォーリーブスの故北公次氏の告発本が1988年に発表されていたのに、マスメディアは、落ちぶれて、覚醒剤にまで手を出した元スターが金の為に暴露本を出したとゲテモノ扱いして、ほとんど無視したことです。このとき、もし、多くのマスメディアが真剣にジャニー氏の性加害に立ち向かって報道していたら、その後の何百人という被害者が生まれることを防ぐことが出来たのではないかと思います。このような状況下で、ジャニーズ事務所内では、故メリー氏以下経営陣は何の対応もせずに、被害を隠蔽し続け、その結果、その後の性加害を許し、続けてしまったのだと思います。もし、マスメディア各社が真正面に取り上げていれば、ジャニーズ事務所としても、動かざるを得なかったと思います。
テレビ局、新聞社、出版社が、結局は、芸能界の大きな力に配慮し、屈服すると言う、いつも公正な報道という使命をまことしやかに語って来たのが、単なる表の顔でしかなかったことを露呈したものと思います。
今回の報道で、各テレビ局は、ニュース番組などのキャスターが、マスメディアの沈黙について、真摯に対応したいと反省の弁を述べていますが、そんなことで許されるような問題ではないと思います。報道機関として致命的な行いをしたと、各社とも、今後そのような事が行われないように、再発防止策をきちんと策定し、我々に説明するのが筋だと思います。ジャニーズ事務所のことを悪者として報道するだけでは無く、是非、マスメディアの罪をどのように解釈し、今後、自分達もどのように変わるのかを明言しなくてはならないと思います。
それが出来なければ、今のマスメディアも戦前の報道機関のように、今後も強い権力には屈服してしまう大きな危険性を包含しているものとして見なければならないと思わざるを得ません。